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09月16日-05号

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  1. 岡山県議会 2004-09-16
    09月16日-05号


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    平成16年 9月定例会          ◎ 平成16年9月岡山県議会定例会会議録  第5号〇 平成16年9月16日(木曜日)                  議  事  日  程                  午前10時30分開議第1 一般質問      ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~                  本日の会議に付した事件日程第1 一般質問      ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~        午前10時31分開議 ○議長(千田博通君)  これより本日の会議を開きます。   ~~~~~~~~~~~~~~~ △日程第1 一般質問 ○議長(千田博通君)  日程に入り,一般質問を行います。 6番加藤浩久君。   〔 6番 加藤浩久君 登壇 〕 ◆6番(加藤浩久君)  おはようございます。自由民主党の加藤浩久でございます。 本日も,地元から東部地域の後援会の皆様47名,そしてまた,玉野りぶる会の方15名,計62名の皆様方に傍聴にお越しいただきました。そしてまた,片隅にではございますけれども,父が亡くなって5年,一緒に苦労してくれました母がきょう来ていただいております。ありがとうございます。力強い応援をいただいて,一般質問2日目,質問通告に従いまして,元気にトップバッターを務めさせていただきたいと存じます。 まず初めに,先般の台風10号,16号,18号により被害を受けられました県民の皆様方に,心よりお見舞いを申し上げたいと存じます。特に,台風16号におきましては,貴重な人命が失われたことに,お悔やみを申し上げたいと存じます。 さて,極めて強い台風16号と,数年に一度の大潮が重なり,我が県の瀬戸内沿岸部は未曾有の被害を受けることとなりました。恥ずかしながら,私も被災者の一人であり,日ごろの危機管理が手薄であったことを,みずから深く反省するとともに,祖父母の時代から住んでいる土地が低いところにあることさえも知らず,高潮対策ができなかった今回の体験を,今後の県政に役立てることができるよう,努力してまいる所存であります。 我が自由民主党の小田春人議員の代表質問に続いて,まずは被災者の立場から,防災,災害対策,災害復旧等,災害について質問をさせていただきます。 今回の台風16号には,予兆がございました。台風10号であります。我が県の住宅床下浸水117軒,そのうち約半数の58軒が,私の地元玉野市でありました。この経験から,私は,16号当日夜半より,玉野建設事務所で潮位の確認の後,道路に亀裂が入り片側通行になっていた国道430号を渋川地内より現地視察,10号で床下浸水した地域及び近くの消防団への高潮注意の喚起に,巡回をいたしておりました。西部半分の地域を終えた後,玉野建設事務所に立ち寄り,所長に現状報告の後,退所しようとしたとき,既に水位は玉野建設事務所の入り口まで,あっという間に上昇しておりました。 残念ながら,東部の地域の方々へは,異常水位であることを携帯電話で伝えるのみで,災害対策本部のある市役所へ向かいましたが,既に車の通れない状況,そして汐入川からの海水の濁流は激しく,その水流に逆行して避難所の小学校に向かわれる方が,道路と川との境がわからず,落ち込み救助されたり,また自動車のクラクションが鳴り続け──これは車種によって,水が入るとクラクションが鳴るということでございますが,私も人が乗っていないか,胸までつかりながら確認をしに行きましたし,周りは漏電等により停電をしており,たまった水の中を通る車が立てた波で商店のガラスが割れたり,トタンが風ではがれ落ちたりする音で,避難勧告など聞こえるはずもありません。災害対策本部の市役所がつかり停電,消防署がつかり,警察署がつかり,玉野建設事務所がつかり,どうやって情報を共有し,勧告を伝えることができるでしょうか。 玉野市築港地区でも,床上浸水で4時間も要介護のお年寄りが,自宅で一人横たわったままおられたそうであります。幸い18号では,16号の教訓を生かし,早期に避難勧告が発令され,要介護並びにひとり暮らしの高齢者の方や,浸水の可能性のある方々は避難されておりました。 大きなつめ跡を残した16号でありましたが,100年に1回の台風であったかもわかりませんが,毎年大潮をねらって来るかもしれない。東南海・南海地震による大きな津波が起こるかもしれない。今こそ,岡山県の地域防災力危機管理能力の早期改善,向上及び報道機関との連携強化が望まれているときではないでしょうか。 そこで,災害時の避難並びに高潮勧告サイレンの創設,県民への徹底,中核になる避難所の見直しとともに,一時避難所をふやし,またこの際,耐震のみならず,高潮対策を施し,一時避難所も兼ね備えた玉野警察湾岸署への建てかえ整備,さらに高潮に対する安全性信頼性の向上を図るために,浸水家屋が一定規模を超えた海岸施設について,再度の災害を防止するため,短期間に集中的重点的な整備を図る新たな制度,海岸激特事業の創設を強く国に要望していただくこと,そして,今後とも重要かつ地元要望の多い業務を担う玉野建設事務所の改築を望むものでありますけれども,石井知事並びに警察本部長に御所見をお伺いいたします。 また,港の岸壁の天端高は,船の大きさや自然状況等に応じた適切な高さとされており,一般的には,大潮の平均高潮面プラス1から2メーターということでありまして,高潮に対する防災機能は十分には考慮されておりません。このため,宇野港の岸壁の背後に,浸水被害を防ぐための施設の設置などは検討できないものでしょうか。さらに,高潮のため,海水が逆流し,浸水災害の原因となったと思われる汐入川が数多くありますが,その河口への水門を設置できないか,現在ある水門の護岸部への移動改修を視野に入れて,あわせて山中土木部長にお伺いをいたします。 また,県では,県・市町村防災対策研究協議会を昨年立ち上げられ,委員会並びにハザードマップ等検討部会,津波対策・避難誘導計画検討部会自主防災組織等強化検討部会が構成されておりますが,早期に研究報告書をまとめていただき,実質活動へ移行すべきと考えますが,いかがでしょうか。 中でも,地域が強い連携のもとで助け合う自主防災組織は,被害の軽減に大きな役割を果たすと思います。この際,早急に,県自主防災組織連絡協議会等を設置し,関係者が自主防災組織の設置育成に係る課題や対応方針についての共通認識を持つとともに,各地域での防災研修会や防災訓練,防災資機材の整備に対し,支援・促進を図ってはどうかと存じますが,石井知事の御所見をお伺いいたします。 さて,次に,災害復旧についてであります。 床上床下浸水を初め,風水害の後は,地元玉野市においても,石井知事御視察のとおり,ごみの山で道はふさがれ,3日間も水が引かず,水没が続く地域もあり,国道430号を初め,県道等の崩壊(430号には,玉野市のライフラインである上水道のパイプラインが埋設されております。復旧には十分に御配慮をいただきますとともに,原形復旧にとめることなく,積極的に改良費を投入していただきますよう,強く要望するところであります),渋川海岸で,プレ国体として開催されるはずであったビーチバレーボール大会も中止されましたが,一般生活再建と公共施設の復旧にはまだまだ時間がかかりそうであります。その中,自衛隊並びに多くのボランティアの方々には,この場をおかりいたしまして,心から厚く御礼を申し上げる次第であります。 また,岡山県として,県独自の生活に必要な家財道具の購入や,住宅の応急修理等の経費を支援する生活再建支援給付金補助事業や,借り入れた住宅補修資金や,農業・漁業災害対策資金の金利を軽減する利子補給事業を初め,被災中小企業者への金融対策として単県制度融資を適用し,現地特別相談会を開催されるなど,台風16号災害に係る支援策を早急に講じていただきましたことに,石井知事を初め,関係部局に対し,敬意を表す次第であります。 また,県職員を初め公務員の方は,機あるごとに水防に勤務していただいておりますが,このたびは,公用車のほとんど(玉野建設事務所10台全車,玉野警察署22台中18台,玉野消防署9台中8台)が被災するとともに,職員の方の車も(玉野建設事務所では15台中13台,玉野警察署6台,玉野市消防署20台中16台)玉野市役所はまとめる余裕がないほどの多くの車が被災をいたしております。石井知事並びに県警本部長におかれましては,手となり足となって,共働する者のトップとして,公務で被災なされた方へも,温かい気持ちと支援策をお願い申し上げたいというふうに思っております。 さて,何とか街角から消え去ったごみの山(災害廃棄物)でありますが,岡山県の推計によりますと,倉敷市約1万5,000トン,岡山市約7,000トン,玉野市約6,500トンを初め,9市町合わせて3万8,850トンもの大量の災害廃棄物が発生し,仮置き場に集積されております。被災した市町においては,他の市町村に委託して処分を行う必要が生じており,これら国庫補助事業の対象とされていない収集,運搬及び処分に係る経費についても,国に対し強く要望していただきますとともに,県としても,一般廃棄物だけでなく,営業者の出した産業廃棄物も混ざったこの災害廃棄物についても,例えば産廃税を財源として対処することができないものか,お尋ねをいたします。 次に,心のケアであります。16号の翌日早朝,私の家から片道30分もかかる医師が自転車を踏んで,会う人ごとに「大丈夫ですか」と声をかけられ,巡回しておられました。敬服をいたすところでありますし,いまだに風がきつい日には怖くて家から出られず,また台風が来るのではと,心に元気のない方々が多いようです。浸水した自家用車が,漏電等でショートして煙が出たり,燃えてしまったりなどの報道もあり,自分の車は大丈夫だろうかと悩んでいたり,1週間会社を休んでいたので,休みもなく働きに出て,疲れやストレスを感じていたり,畳をまだ敷くことができず,家の整理もいまだできずに悩んでいる方もおられるようです。 被災により心の元気を失った方々への不安やストレスが解消されるように,例えば専門医等による巡回診察や,相談受付電話(心のケアホットライン)の実施を望むところでございますが,宮嵜保健福祉部長にお尋ねをいたします。 また,このたびの台風は大きなつめ跡とともに,多くの課題を残しました。10号のときの水位,16号のときの水位,18号のときの水位を,町のよくわかるところ,例えば県有施設や電柱などに記して,今後の災害に備えてはいかがでしょうか,お尋ねをいたします。 以上,災害についての質問並びに要望をいたしておきます。 次に,私の21世紀の3つのキーワードJFK(情報のJ,福祉教育のF,環境のK)の中から,このたびはFの福祉教育について質問をさせていただきたいと思います。 まずは,小1グッドスタート支援事業についてであります。この事業は,平成14年度から,地域住民等を学級担任などの補助を行う教育支援員として,小学校第1学年に配置をし,基本的な生活習慣の確立とともに,義務教育の円滑なスタートを図る目的で導入され,個々の児童に応じたきめ細かな対応が行われて,保護者からも大変喜ばれております。私も参観日に,1年生のクラスをのぞいてみましたが,2人の先生が連携をとって,児童の面倒を見ておられました。反面,今までは1人でどうやってきたんだろうというところも感じたところでもございます。今後も,この小1グッドスタート支援事業については,続けていただけるものと考えております。 しかしながら,この事業は,岡山県緊急地域雇用創出特別基金事業であるために,3年間,平成16年度で事業が終了いたします。岡山県の財政状況厳しき折ではありますが,ぜひとも継続していただきたい事業と考えますが,宮野教育長の御所見をお伺いいたします。 次に,放課後児童健全育成事業についてであります。先般,玉野市築港の放課後児童クラブ(ぺんぎんクラブ)を訪ねました。といいますのも,そのぺんぎんクラブの方々が,フィリピンの子供たちに,Tシャツと文具を自分たちで集めて,ボランティアで送ろうということで,私の子供も共感をし,着れなくなった服を持ってまいりました。そのときに,保護者の方,指導員の方から,放課後児童クラブの実情をお聞きいたしました。 この事業は,児童館のほか,保育所や学校の余裕教室等,地域住民に最も身近な社会資源を利用し,昼間保護者のいない家庭の小学校低学年児童(主として1年生から3年生)に対し,育成指導,遊びによる発達助長などに対応するサービスを行うものであります。設置状況は,中核市を除いて5年前より1.5倍,中核市を含めますと約2倍になっております。各クラブの児童数も実はふえ続け,空き教室のないところでは,プレハブを建てるなどの手当てをしておりますけれども,夏の暑い時期には,とても中にいることはできない状態であります。また,兄弟でも,高学年の子供は家に帰って,低学年の子供だけ預かるわけにもいかず,1年生から6年生まで受け入れをせざるを得ない現状もあり,指導員の方の御苦労は大変なものがあります。ぺんぎんクラブも同様な悩みを抱えており,38名の子供たちが1つの小学校の教室の中で,汗だくで右往左往,いまだ中小企業の景気がはっきりと向上しない中,お母さん方の就労によって家計を賄っていくすべしかない現状により,まだまだ放課後児童クラブの児童はふえてきそうであります。 子育て支援を考えていく上で,今後放課後児童クラブに対し,どのような施策を考えられているか,例えばクーラーの完備された県立高校の空き教室を開放するなどのことはできないのか,岐阜県庁で児童家庭課長として,保育所増設に御尽力いただいた石井知事の御経験を踏まえ,子育て支援についてお尋ねをいたします。 次に,県職員の時差出勤あるいはフレックスタイム制についてであります。出勤,退庁時の交通渋滞の緩和や保育所への送迎等の育児支援,また介護支援,PTA活動を初め地域の活動やボランティアの参加などのために,こうした制度を導入してはいかがでしょうか。県民として,公僕として,「人の和」を重視する石井知事のお気持ちを,広く県職員の皆さんの自覚として認識してもらうためにも重要だと考えますが,御所見をお伺いいたします。 以上,災害関係,福祉教育関係を重点に質問をさせていただきましたが,「天の時 地の利 人の和」を出版されました石井知事の「私の坂の上の雲」と題された第1章は,お人柄を知る上でとても参考にさせていただきましたし,第2章から第7章まで,今後の岡山県政の多くの課題に積極的に取り組む姿勢を感じ取ることができました。本日お越しの62名の皆様とともに,心の中で精いっぱいの黄色いハンカチを振りつつ,引き続き石井知事の新しい任期が訪れますことを祈念申し上げまして,質問を終わりとさせていただきたいと思います。御清聴ありがとうございました。 ○議長(千田博通君)  答弁を求めます。 知事石井正弘君。   〔 知事 石井正弘君 登壇 〕 ◎知事(石井正弘君)  自由民主党の加藤議員の質問に順次お答え申し上げます。 まず最初に,災害対策でありますが,勧告サイレン等についてのお尋ねであります。 住民の皆様方に対します,迅速かつ的確なる災害情報の提供ということは,大変重要な課題であると認識いたしておりまして,本県では,住民に対します災害情報の伝達には,停電あるいは地震にも強い,国が推進しております市町村防災行政無線の整備を働きかけております。住民への災害情報の伝達業務は,災害対策基本法に基づきまして,一義的には市町村が担うということとされておりまして,御提案の勧告サイレンの導入につきましては,これは市町村等の意向も確かめながら研究をしてまいりたいと存じます。 まずは,この今申し上げました市町村防災行政無線,これは各家に設置をしていただきまして,一斉に市役所等からのその通報が各家に放送されるということでございまして,これは災害対策には大変有効な方法であると私どもも考えておりますが,いずれにいたしましても,どういう手法をとられますかは,当該市町村の主体的なお取り組みに対しまして,県としても助言あるいは支援に努めていきたいと思っております。 次に,海岸激特事業の創設でございます。これにつきましては,現在の災害復旧制度では,高潮によります再度の浸水被害を防止をするというための事業を行うことができないと,被災をしたその施設を復旧するということが現在の制度でございますので,被災をしていない堤防の上を乗り越えて高潮がやってきたという今回の災害の対応にかんがみますと,ぜひ新たな事業の制度の創設が必要であると,このように私も認識をいたしました。 そこで,去る14日,県議会議長さんと私が御一緒に,国土交通省など関係省庁に対しまして,今回の台風災害に対します早急なる復旧支援と同時に,御提案いただきました海岸激特事業,これは短期間に,おおむね5年ぐらいに一気に改良していこうという制度の創設でございますが,これにつきまして緊急要望をしたところでございます。担当の局長は,熱心に私どもの要望をお聞き取りいただきました。ぜひ実現をしていただければと願っております。 次に,玉野建設事務所の改築の問題でございますが,このたびの地方振興局の再編でお示ししております素案では,17年度より県民局体制となるということから,この玉野建設事務所の業務につきましては,県民局建設部に集約をすると,ただ従来からの港湾管理機能につきましては,港湾施設の維持管理の業務を現地に残す必要がございますので,それを除きましてこれを県民局の方に集約をしていくと,このように整理をしているところでございます。もちろん,振興局再編にあわせまして,地元要望等を踏まえまして,県民局からいざというときに職員を出動させるなど,現地における新たな防災システムというものは検討していかなければならないと考えておりますけれども,いずれにいたしましても,そのような経緯で素案をまとめておりますので,この事務所の改築につきましては考えていないということでございまして,御理解を賜りたいと存じます。 次に,防災対策研究協議会でありますが,昨年5月に,県及び市町村の防災対策につきまして,共同で調査研究,協議をするということを目的にいたしまして,防災関係機関,学識経験者などで構成いたします県・市町村防災対策研究協議会を設置いたしまして,お話ございましたとおり,3つの検討部会を設け,調査・研究をしているところでありまして,今月下旬に協議会を開催いたしまして,各検討部会からの報告書案が報告される予定となっております。協議会における,この報告書の承認を受けた上で,県といたしましては,その内容に沿いまして,ハザードマップの具体的な作成方法や活用方法,津波対策といたしましての避難誘導計画の作成例,自主防災組織の設置・育成方法等につきまして,具体的な取り組みを市町村に対しまして働きかけてまいりたいと存じます。 その自主防災組織でありますが,高齢者等災害時要援護者の避難対策につきましては,地域住民に身近な自主防災組織などの役割が大変重要であると考えておりまして,今年度から防災研修会,防災訓練,防災資機材整備等の補助制度を設けまして,この自主防災組織の設置促進を図っているところでございまして,町内会あるいは婦人防火クラブ等々,自主防災組織をぜひ設置をしていただきたいと願っております。 県下の自主防災組織と県・市町村等防災関係機関が連携し協議する場を設けては,との御提案でございますが,御提案に沿いまして,自主防災組織連絡協議会を来月中を目途に開催をすることといたしたいと思います。連絡協議会におきましては,お話ございましたとおり,自主防災組織の設置・育成に係ります課題や対応策,全県的な自主防災組織の連携のあり方,今回の高潮被害を踏まえました,災害時要援護者の避難支援等につきまして,協議をする予定でございます。今後とも,市町村と連携をしながら,自主防災組織の設置促進を図ってまいりたいと存じます。 次に,災害廃棄物でありますが,お話のように,被災市町では大量の災害廃棄物を迅速に処理するために,他の市町村へ委託をいたしまして,その処理を行う必要が生じておりまして,県といたしましては,余力のある市町村に処理を引き受けてもらえるように調整を行いますとともに,その経費につきましても国庫補助の対象とするように,先ほど申し上げました一昨日,制度の拡充につきまして,国の方に対し強く要望したものであります。 また,産業廃棄物処理税を活用してはとの新たな御提案をいただきましたが,この税は,御承知のとおり排出事業者,中間処理業者等関係事業者の理解と協力を得まして,産業廃棄物の発生抑制,減量化等を促進する費用に充てるという目的のために創設したということでございまして,災害廃棄物の処理の財源にするということにつきましては,これはなじまないものではないかと考え,御理解を賜りたいと存じます。 水位の表示でありますが,このたびの台風による高潮災害は,県下沿岸部に甚大な被害が発生をしたところでございまして,また,これまでにない高い潮位となったということから,今後の防災対策に生かしていく必要があると考えております。具体的に御提案いただきました,水位を町のよくわかるところに記してはとの御提案でございますが,この点につきましては,災害の恐ろしさや備えの必要性等を今後に伝えていくということは大切であると,私もそのように考えております。関係する市や町の取り組みもあろうかと存じます。したがいまして,その取り組み状況も聞きながら,市や町とも検討してまいりたいと存じます。 放課後児童健全育成事業でありますが,放課後児童クラブ子育て支援対策といたしましても,児童の健全育成を図る観点からも重要であると考えております。このため,クラブの創設,増築等の整備への補助を行いますとともに,県独自に小規模なクラブや未設置市町村への補助などを行ってきておりまして,引き続き「新世紀おかやま夢づくりプラン」に基づきまして,その設置促進を図り,少子化対策を推進していきたい,私自身の経験からも,この事業は大変有効であると,このように考え,そのように設置促進を図ってまいりたいと考えております。 御提案ございました県立高等学校の空き教室の活用でございます。これも条件が整えば,有効な対策ではないかと考えております。活用可能なものにつきまして,適宜,実施主体でございます市町村に対しまして,情報提供に努めてまいりたいと存じます。 最後に,県職員の時差出勤等でありますが,御指摘をいただきましたとおり,時差出勤やフレックスタイム制は,交通渋滞の緩和や職員の育児,介護,地域活動等を支援していく上で有効であると私も考えております。現在,本県におきましては,試験研究機関におきまして,研究業務の特殊性効率性の観点から,フレックスタイム制を導入しているところでございますが,その他の職場につきましても,円滑な業務の執行や県民サービスの確保に十分配慮しながら,御提案いただきました時差出勤の導入につきまして検討してまいりたいと存じます。 先ほどは,私の著書をお読みいただきまして,感想を述べていただきました。大変ありがとうございました。力強い御声援,御支援のお言葉をいただきまして,大変勇気づけられました。ありがとうございました。 以上で私の答弁とさせていただきます。 ○議長(千田博通君)  保健福祉部長宮嵜雅則君。   〔 保健福祉部長 宮嵜雅則君 登壇 〕 ◎保健福祉部長(宮嵜雅則君)  お答え申し上げます。 災害に係る心のケアについてでございますが,被災直後から住民の方を対象に健康調査を実施し,その後も適宜,健康状況の把握をしており,心のケアの必要な場合には,保健師が訪問し,支援しているところでございます。また,保健センター,保健所において,随時電話等により相談も受けているところでございます。 幾つか具体的に御提案いただきましたが,今後さらに精神科医等を被災地に派遣して,心の相談を実施していく予定としておりまして,今後とも地域の状況を把握し,適切に支援を進めてまいりたいと,このように考えております。 以上でございます。 ○議長(千田博通君)  土木部長山中義之君。   〔 土木部長 山中義之君 登壇 〕 ◎土木部長(山中義之君)  お答えを申し上げます。 まず,宇野港の高潮対策についてでございますが,岸壁背後への浸水被害を防ぐための施設の設置は,浸水対策の手法の一つと考えられますが,現在浸水状況や被災状況の調査を進めているところでございます。その結果も踏まえまして,岸壁背後地の利用状況など,現地の実情に即した高潮対策の可能性について研究をしてまいりたいと考えております。 次に,水門の設置についてでございますが,沿岸部に設置いたします水門は,海水の進入を抑えながら,排水ポンプとの併用によりまして,背後地域の方々の生命と財産を浸水の被害から守ろうとするものでございます。 先ほどもお答え申し上げましたとおり,現在,今回の高潮による浸水状況や,被災状況の調査を進めているところでございます。今後,浸水原因の究明をいたしました上で,汐入川の管理者であります玉野市とも協議をしながら,水門設置などの高潮対策を検討してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(千田博通君)  教育長宮野正司君。   〔 教育長 宮野正司君 登壇 〕 ◎教育長(宮野正司君)  お答えをいたします。 小1グッドスタート支援事業についてでございますが,この事業はお話のように,平成14年度の導入以来,保護者の方々や教員等から,「小学校生活にスムーズに適応することができた」とか,「勉強や基本的な生活習慣の確立に効果があった」など,高い評価を得ておりまして,多方面から継続の要望をお聞きをいたしております。 現在,来年度の予算編成に向けまして,さまざまな事業の見直しを行っているところでありますが,この事業につきましても,こうした強い要望や,これまでの成果や課題を踏まえながら,検討をいたしているところでございます。 以上でございます。 ○議長(千田博通君)  警察本部長福島克臣君。   〔 警察本部長 福島克臣君 登壇 〕 ◎警察本部長(福島克臣君)  お答えいたします。 玉野地域に,耐震のみならず高潮対策を施し,一時避難所の役割も備えた警察署を建てかえ整備することについてでございます。 玉野警察署は,今回の台風16号に伴う高潮によりまして,1階部分が冠水し被害を受けたところでございますが,現在は,一部を除きほぼ復旧し,支障なく警察活動を行っております。しかし,現在の玉野警察署は,築後33年を経て,老朽化・狭隘化が進んでおり,県下の警察施設の整備を進める中で,今後その整備を検討していかなければならないものでございますが,その際には,耐震のみならず,高潮への対策も考慮する必要があるものと考えております。 また,災害時における一時避難所の役割を備えた施設にすべきであるとの御提案でございますが,御承知のとおり,警察は,被害の発生が予想される場合や,現に災害が発生した場合,警戒パトロールや住民の避難誘導,被災者の救護,交通規制等に当たることとなっておりまして,警察署全体が,災害警備本部や派遣部隊を含めた,警察各部隊の活動拠点として使用されます。したがいまして,前もって避難ができる場合には,地域防災計画で示されております近くの小学校や公民館等の避難所に避難をお願いしたいのでありますが,避難所にたどり着けないなど緊急を要する場合には,警察署庁舎に一時的に避難していただくこともあり得るものと考えておるところでございます。 以上でございます。 ○議長(千田博通君)  24番草苅隆幸君。   〔 24番 草苅隆幸君 登壇 〕 ◆24番(草苅隆幸君)  民主・県民クラブの草苅隆幸でございます。 通告によりまして,質問をさせていただきます。 冒頭ではありますけれども,今回の台風16号,18号によりまして,県民の多くの方が被災をされ,お悔やみとお見舞いを申し上げまして,一日も早い復旧を望んでおります。 それでは,順次質問に入らせていただきます。 まず,1番に入りますが,中心市街地活性化についてであります。 中心市街地の活性化について,県はいろいろ対応されておりますが,私は,バブル時代のことはもとに戻らないと思うのでありますが,山を削り,道をつけ,電柱を立て,水道を引いたのであります。中心部には,電気,ガス,水道は既に整備されているのでありますから,社会的なインフラは整備の必要はないのであります。そこで,まちづくりは,快適で豊かさが実感できることが求められていると思うのであります。地域のまちづくりに役立つ情報の受発信や住まいに関する相談を受け付けるため,まちづくり情報ステーションとして,まちづくり推進機構に運営委託をされました。その利用,活用状況はどのようになっておりますか。中心市街地の活性とどう結びついているのでしょうか,土木部長にお伺いいたします。 今まで,中心市街地の活性化について,県・市・商店連合会等々が取り組まれてまいりましたが,はかばかしくありません。ここで,なぜ中心市街地の活性化なのか,原点に返ってみたいと思います。 商店街の敵は商店であると言えます。家賃を見ると,一坪1万円,高いのは2万円,家主は困っていないから貸さない,困れば値下がりするのであります。権利関係がややこしくなるので貸さない,中心地商店の土地,家屋は減価償却しており,単なる不動産管理業となっているのではないでしょうか。40年代までは,売り上げを伸ばすのは売り場面積をふやすことと,通産省も認めてきました。その後,商店主は家庭と庭が欲しくなり,郊外に住まいを求め転居したのであります。夜間人口は減少し,それまでは,寝るまで店を開けていた,朝の開店が10時になる,住んでおらないから生鮮食料品も売れない,一方でブランド志向が起き,廃れてきたのであります。 そのような中で,高齢者は,生活のインフラである商業,工業,文化,医療などが複合し,効率がよい便利な場所へ向いているのであります。郊外から中心部への移動が始まっているのではないでしょうか。郊外は,中心があって成立すると言われております。中心市街地の衰退の原因の一つに,商店が多過ぎたのも原因ではないでしょうか。すべての商店街が復活するというのは無理ではないでしょうか。商店主の体力,才能,才覚の限界,減価償却しているというか,役割を終えたものもあるのではないでしょうか。それで,これからは,チャレンジャーへの舞台の提供であると思われるのであります。土地の値下がりとマンション建設がそれであり,起爆剤になるものと思われます。 既に述べたように,すべての商店が復活するというのは無理であると思うんです。やる気のある数人が大切であり,「みんなで」という考え方は捨てるべきではないかと思います。一般的な風潮は,2割の者がやる気,2割がしない,6割が風見鶏であるそうであります。チャレンジャーとして起爆剤となるのは,よそ者,若い者,外れ者と言われる人々がこの2割となるのではないでしょうか。 また,全国の成功事例の中では,役割を終えた人たち,減価償却した人々の既成組織を使わないで,新しい人がどう変身するかという討論が大切であると言われております。また,中心は人と情報の集まる場所と言われております。このような状況を踏まえて,市街地における商店街の活性化のための方策を産業労働部長にお伺いいたします。 次に,中心市街地の再生についてお伺いいたします。企業のリストラによる撤退やニーズに合わなくなった空き家となった建物がふえており,ビルの新築は大きな伸びが望めないこと等から,用途転用が検討されております。商業ビルをマンションに,社員研修所を老人ホームにという改装が,各地で始まっております。また,平成12年末に開店した福山そごうビルを福山市がみずから取得し,現在,天満屋に賃貸し,にぎわいを見せている例も近くにもあります。このように,中心市街地の活性化は,市町村が主体的に取り組むべきものでありますが,計画策定や事業実施について,県としてどのような指導,助言を行っているのでしょうか,産業労働部長にお伺いをいたします。 次に,国道2号の立体化(高架)についてであります。 国道2号の高架について,私が県議になり直ちに取り上げ,2号バイパスの使命が渋滞により薄れている,何としても一日も早い高架をと訴えて,8年目の昨年3月に,これは選挙中でありましたが,知事が国土交通省からの立体構想ということで知らせていただきました。そういう中で,1年間の調査ということで,具体的計画内容が本年2月に発表されました。私も,この調査について,地元のいろいろとやりとりをということで,希望も聴取をしてくれということを言っておったんですが,一方的に新聞発表するということで,国土交通省岡山工事事務所は出てしまいましたということで,出たのはだれが出したんですかということも言ったんですが,そういうやりとりの中で地元説明が始まったのであります。 その内容は,新保・バイパス青江交差点は高架にしていくということで,福富西交差点は現状のままで,現在信号で交差する市道を南北に行き来をしているわけですが,信号をなくして市道の行き来を遮断してしまうというのであります。市道の行き来は,狭い地域での利用と言ってしまえば終わりでありますけれども,遮断となると,連合町内が分断されるわけでありまして,地域のコミュニティーに大きな支障が出てくるということは否めないと思います。ただ,一日の交通量が約11万台で,中四国一ということでありますから,工法的にいろいろと検討された上での計画であることは理解できるものの,30年来初めての大規模な改良工事を行うわけですから,何としても福富西交差点を立体化するよう願うところであります。ぜひとも,知事の御所見,御努力をお願いをしたいと思うわけであります。 次に,工事中の渋滞対策についてであります。 工事は,来年の国体終了後から着手ということであります。通常の交通量も中四国一であり,さらに工事となると大変な渋滞が予想されます。そこで,今から渋滞対策を検討されなければならないと思うのであります。例えば,岡山市を通過する長距離通行の車は,高速料金を3割引きするとか,南北に分散させるため,180号バイパス利用の徹底,岡南大橋利用は無料とか,ブルーハイウェイが4月から無料化となりました。また,山陽自動車道の岡山-総社間の通勤時間帯の割引が試行されております。種々のデータを参考に,渋滞対策を取り組まなければならないと思うわけでありますが,今後どのような対応をされていくのか,土木部長にお伺いをいたすものです。 次に,地方振興局の再編問題についてお伺いいたします。 知事は,提案説明の中で,「広域性,専門性を高めた上で,地域の政策全般について担う」とされております。再編については,メリット,デメリットがあるわけですが,メリットのみ強調されてるように思われます。創造のための改革として宣伝され,「再編の影響はさまざまな分野に及ぶことが考えられますが,県の発展のためには避けて通れない改革であると認識している」とも言われております。デメリットが,この表現の中に封じ込まれているのではないでしょうか。道州制のための再編ではないか等の疑念をどう払拭するのか,細かいことでも県民に示すべきと考えますが,知事の所見をお伺いします。 我が会派の代表質問において,土木・福祉関係について具体的に質問いたしましたが,私は県民サービスの低下を来してはならないという視点で質問を行いたいと思います。 例えば,税金徴収ですが,1,000円を取りに阿新地域へ2時間もかけて出かけるのでしょうか。費用対効果を見たときはどうでしょうか。税の公平さからは当然ではありますが。また県税の減免等の措置についてでありますが,身体障害者の自動車税や不動産取得税の申請に,阿新地方から倉敷まで出かけるのでしょうか。これらの補償措置をどのように考えておられるのでしょうか。 さらに,軽油引取税の農業者の免除は,年間数千円の場合が多いと聞いておりますが,そのためにわざわざ出向く煩わしさを考えると,もういいやとあきらめざるを得ないなどの意見を聞くのであります。このような状況から,県民サービスの後退を来さないためにも,どのような対応をお考えなのか,また広範囲である備中地域では,高梁局は残すべきと考えますが,知事の御所見を伺います。 次に,土木部のダム管理体制であります。 災害時には,担当職員でなく振興局職員の応援を受けながら,体制の配備についている状況であります。今後も,東南海・南海地震の災害が懸念されており,災害時における適切なダム管理体制が必要と考えますが,振興局再編後の体制について,どう考えておられるのか,土木部長にお伺いいたします。 次に,県の役割である市町村の補完について,どのようなことになるのか,昨年の行革大綱のための委員会で,新庄村長が示した不安,懸念にどうこたえるのか,市町村への一方的な事務の押しつけにならないよう配慮することは,代表質問でも指摘をいたしましたが,再編に伴う人員削減の350人は機械的数値としか思えないのであります。市町村合併が確定していない現在,どの市町村へ何の仕事が移譲されるのかといった具体的なものが出されて,初めて数値が確定するのではないでしょうか。総務部長にお伺いをいたします。 次に,先日の台風についてでありますが,県では9月1日に災害復旧支援本部を設置し,直ちに知事自身が被災地を視察をし,関係市町村長や被害状況の説明や要望にいち早く対応されたことには,敬意を表するものであります。早期の災害復旧等に取り組み,一日も早く被災された方々の生活の安定が図られるよう,万全の体制を整えていただきたいのであります。我が民主党もいち早く災害対策本部を設置し,被災地の調査をし,県に対して二度にわたり申し入れをいたしたところであります。 この台風は,超大型であり,年間を通じて最も潮位が高い時間と重なること等から,マスコミ等で早くから高潮対策の必要性が強調されていました。現実は大変なことになったわけでありますが,情報の処理を含めた危機管理のマニュアルはどのようになっていたのか,住民への通知はだれがどのように行うことになっているのか,責任の所在を明らかにしてほしいと思うのであります。いろいろと具体的な,既に代表質問や一般質問等で答弁をなされておりますけれども,どういうマニュアルによって今回の危機管理というものが対応され,どういうメリットがあったのか,県民の生命,財産がこういうところでカバーできたということをお示しいただきたい,総務部長の見解を伺いたいと思います。 また,県職員全員の非常体制の任務の内容というのが徹底されていたのか,あわせて伺いたいと思います。 次に,次世代育成支援対策について伺います。 次世代育成支援対策推進法が施行され,国は地方公共団体及び事業主が行動計画を策定する際の指針を策定しているところであります。地方公共団体の行動計画の策定でありますが,市町村と県の行動計画との連携はどのように図られるのか,また県とのすみ分けはできるのでしょうか,お伺いをいたします。 県の行動計画への地域住民の意見の反映をどのような方法でなされるのか,また事業主等の行動計画の策定について,県としてはどのような啓発をなされるのか,保健福祉部長に伺います。 次に,道徳についてであります。 「戦後60年間,日本人は大変な重要なことをおろそかにしていたように思われる。それは平和憲法と対をなす新しい道徳を創造することである」「それゆえに,道徳は家庭でも学校でも教えられず,道徳なき人間が育っている。そのような人間の中から,理由なく人間を殺す子供や,汚職や詐欺などの恥ずべき犯罪を行う大人が出る。私は日本の庶民の道徳的水準はまだそれほど低くないと考えているが,日本人が長い間,精神の糧としてきた,仏教や神道や儒教の教えが心のどこかにまだ残っているからであろう。その道徳的遺産も尽き,道徳性の全く欠如した人間の跳梁する恐るべき時代が遠からず到来するに違いない。過去の道徳的遺産がある間に,新しい道徳を創造することが必要である」中略。「私は,このような仏教の道徳を中心にして,例えば,儒教の人間への信頼,神道の自然崇拝,キリスト教の希望などを総合した新しい道徳体系の樹立が必要不可欠であると考える」と,哲学者の梅原猛は,本年6月15日付朝日新聞に,「民主主義道徳の創造」と題する小論の中で,こう憂慮の念を抱いておられます。 そこで,「Bushido:TheSoulofJapan」を出した新渡戸稲造とかかわってみたいと思います。明治31年7月,婦人のメリーとともに,カリフォルニアの南部の温暖な地へ,療養を続けるため転地をいたしました。この地で「武士道」を書いたのであります。その執筆の動機でありますが,「約10年前,ベルギーの法学大家,故ド・ラヴレー氏の歓待を受け,そのもとで数日を過ごしたわけであります。ある日の散歩の際,私どもの話題が宗教の問題に向いた。『あなたのお国の学校には宗教教育はないとおっしゃるのですか』と,この尊敬すべき教授が質問した。『ありません』と私が答えるや否や,彼は打ち驚いて突然歩みをとめ,『宗教なし!どうして道徳教育を授けるのですか』と繰り返し言ったその声を,私は容易に忘れ得ない。当時,この質問は,私をまごつかせた。私はこれに即答できなかった。というのは,私が少年時代に学んだ道徳の教えは,学校で教えられたものではなかったから。私は,正邪善悪の観念を形成している各種の要素の分析を始めてから,これらの観念を私の鼻腔に吹き込んだものは,武士道であることをようやく見出したのである」さらに,「この小著の直接の端緒は,私の妻が,かくかくの思想もしくは風習が日本にあまねく行われているのはいかなる理由であるかと,しばしば質問したことによるのである」としております。岩波文庫,矢内原忠雄訳「武士道」を引用すると,その第1章は,「道徳体系としての武士道」であり,文の初め,「武士道は,その表徴たる桜花と同じく,日本の土地に固有の花である。これは古代の徳が乾からびた標本となって,我が国の歴史のせき葉集中に保存せられているのではない。それは今なお我々の間における力と美との活ける対象である。」また,第2章は「武士道の淵源」と題して,武士道のよりどころである東洋思想との関係を述べているのであります。「新陰流の達人,柳生但馬守がその門弟にわざの極意を教え終わったとき,『これ以上のことは余の指南の及ぶところではなく,禅の教えに譲らねばならない』,それは『言語による表現の範囲を超えたる思想の領域に,瞑想をもって達せんとする人間の努力を意味する』」としています。 松隈俊子氏が新渡戸博士の生涯と事業を著した,みすず書房発行「新渡戸稲造」では,「『武士道』を書くについて,彼は日本人の道徳生活を支配するものの中に武士道のあることを示し,武士道的道徳の成り立つ諸徳が日本固有のものであると同時に,西洋の道徳思想の根本をなすキリスト教の思想といかに共通しているか,武士道の諸徳はキリスト教の思想の中に含有されていることを示したのである」と述べているのであります。 「武士道」は予想以上に世界の反響を呼んだのであります。一つには,明治37年,38年,日本が大国ロシアと戦いを交え,これに勝つという予期しない結果が出たため,世界の目は一斉に東洋の一小国の勝利の原因,日本国民に向けられたのであります。日本人の精神は,武士道とは何かということで,この書は,英語で書かれ,ドイツ,フランス,ポーランド,ノルウェー,ハンガリー,ロシア語,中国語にも訳されて,当時,世界にセンセーションを巻き起こしたと言われております。そこで,知事,教育長に,この所感をお伺いしたいのであります。 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(千田博通君)  答弁を求めます。 知事石井正弘君。   〔 知事 石井正弘君 登壇 〕 ◎知事(石井正弘君)  民主・県民クラブの草苅議員の質問にお答えいたします。 まず,国道2号線福富西交差点の立体化の問題でありますが,国におかれましては,この交差点の立体化も検討をされたところでありますが,御承知のとおり,前後の高架橋が接近しておりまして,現在の交通を確保しながら立体化をするということは,技術的に極めて困難であると,このように判断をされたと聞き及んでおります。このため,遮断される南北交通は,側道を利用して確保する計画でありまして,今後,地元関係者の御理解をいただきながら,この事業が円滑に進みますよう,県といたしましても最大限の協力をしてまいりたい,このように存じます。 次に,県民局の再編問題であります。 県民の皆様方に対する説明についてでありますが,再編によって生じるデメリットといたしましては,所管区域が広域化をするために,県民局までの距離が遠くなりまして,県民,職員が行き来に時間を要するということ,このことが基本的に考えられます。 これに伴い生じる課題に対応していくために,各種申請のための窓口機能,自然災害や健康被害などへの初期対応の業務等につきましては,引き続き現在の地域で行いますとともに,電子申請の機能というものも活用するなどいたしまして,県民サービスへの影響に十分配慮することと,このようにしているものであります。 なお,道州制についてのお話もございましたが,現在,第28次地方制度調査会におきまして,まさに検討が緒についたばかりであるという段階でございまして,局再編は,この問題とは何ら直接結びつくものではございません。 県民サービスの後退等でありますけれども,素案では,住民に身近な窓口業務等につきましては,引き続き現地における事務所に残すこととしているものであります。その上で,県税の減免措置の申請など,県民局に集約する業務につきましては,郵送による申請手続の導入はもとより,電子申請の活用など,業務に応じた効率的,効果的な対応を検討することによりまして,できるだけ県民サービスの低下につながらないように配慮したいと考えております。 また,職員が現地に赴かなければならない業務につきましては,同じ地域の業務は同一の機関に集中的に処理をするなどいたしまして,効率的な業務執行を図ってまいりたいと存じます。 なお,備中地域についてでありますが,確かに広範囲にわたっておりますが,高速道路を初めとする道路網などの交通体系の整備が進んできておりまして,これにITの活用を組み合わせれば,距離的時間的制約というものを克服できる環境にあるものと考えております。 最後に,道徳についてのお尋ねでございます。 御案内のとおり,梅原猛氏は,仏教の道徳を中心といたしました新しい道徳体系の樹立の必要性というものを説かれ,また新渡戸稲造氏は,日本古来からの文化,道徳,宗教などを武士道の視点から体系化をいたしまして,義,勇,仁といった徳目について説き明かされているところであります。 私は,最近の世情を考えますと,家庭や学校における徳育は極めて重要な事柄となっておりまして,社会の中で守るべき規律,あるいは人として生きるための徳目についての議論というものが大いに深められていくということは,大変これは大切であり,有意義なことであると,このように考えております。 以上でございます。 ○議長(千田博通君)  答弁を求めます。 総務部長前田一浩君。   〔 総務部長 前田一浩君 登壇 〕
    ◎総務部長(前田一浩君)  お答え申し上げます。 地方振興局の再編に係ります人員削減等についてでございますが,地方分権の流れの中で,市町村合併が進み,市町村は行財政基盤が強化されていきまして,これに呼応して,県の役割は市町村を効果的に補完しながら,広域的な総合調整機能や専門的な技術力を発揮することが今後求められる,このように考えております。 御指摘のような,一部の市町村長の御不安・御懸念に対しましては,県民の生命・財産を守るための災害・危機管理への対応や各種申請のための窓口機能等は,引き続き現在の地域で行いますとともに,地域住民の方との協働を推進するために設置いたします協働委員会を有効に活用してまいりたいと,かように考えているところでございます。 また,人員削減350人という数字につきましては,7月の再編素案の公表の段階で,この素案をベースにいたしました行革効果のイメージをつかんでいただくために,機械的に算出したものでございまして,今後,成案を取りまとめていく中で,客観的に見込み得る要因を基本に算定することといたしまして,集約による業務効率,事務事業の見直し等について精査いたしまして,再編に伴う数値目標としてお示ししてまいりたいと考えております。 次に,先日の台風についてでございます。県では,全庁的な危機管理を一元的に処理いたしますために,平成14年度から危機管理監を設置いたしますとともに,危機管理チームを設置しまして,情報処理を含む,迅速かつ的確な危機管理を行うこととしております。 また,現在は,災害関係非常連絡マニュアルにより,非常時の情報伝達,配備体制などを行っていますほか,震災時応急対策マニュアルや,健康危機管理マニュアルなど,個別の災害対応マニュアルにより運用しているところでございますが,今後は,想定される災害全体を包括する全庁的な危機管理マニュアルを,今年度中に作成することとしております。 今回の台風も含めまして,避難勧告の発令等住民への情報伝達は,災害対策基本法に基づく,市町村地域防災計画によりまして,市町村長みずからの判断と責任で,市町村防災行政無線,有線放送,広報車などの伝達手段により行うこととなってございます。この点につきましては,残念ではございますが,今回の台風におきましては,一部の市町で災害対策本部の立ち上げ,あるいは情報の収集,伝達等につきまして,残念ながら問題点があった点は否めないというふうに考えてございます。今後は,関係する市町と相談いたしまして,この教訓を生かし,今後の防災体制に反映させていきたいというふうに考えているところでございます。 なお,非常体制におけます県職員の役割についてでございますが,災害対策本部規程により,各部課,振興局の所掌事務が規定されておりまして,これに基づき,必要な所属に必要な人員を配備したところでございます。 以上でございます。 ○議長(千田博通君)  保健福祉部長宮嵜雅則君。   〔 保健福祉部長 宮嵜雅則君 登壇 〕 ◎保健福祉部長(宮嵜雅則君)  お答え申し上げます。 次世代育成支援対策についてでございますが,市町村の行動計画には,地域の実態に即した具体的施策を盛り込み,県の行動計画には,県の施策に加え,市町村を支援する施策等を盛り込むものと位置付けられております。このため,市町村への説明会や研修会の開催などを通じ,両計画の整合性が図られるよう,緊密な連携のもと,計画策定を進めているところでございます。 また,県の行動計画となります「新岡山いきいき子どもプラン」の策定に当たりましては,県民意識調査等を実施し,骨子を策定したところでございますが,今後はまたパブリックコメント等を行い,県民ニーズを的確に反映してまいりたいというふうに考えております。 事業主等の行動計画につきましては,国が指導することとなっておりまして,県といたしましては岡山労働局と連携し,セミナーの開催や広報紙への掲載などを行い,事業主への啓発に努めているところでございます。 以上でございます。 ○議長(千田博通君)  産業労働部長池上賢太郎君。   〔 産業労働部長 池上賢太郎君 登壇 〕 ◎産業労働部長(池上賢太郎君)  お答えをいたします。 中心市街地活性化につきましての,まず商店街活性化の方策についてでございますが,県では,意欲ある若者が経営ノウハウを学ぶためのチャレンジショップの開設,家賃や店舗改装費を補助する新商人の育成,また子育て支援と商店街の活性化を組み合わせたユニークな取り組み,地域の伝統文化を生かしたひな祭りなどの新たなイベントなど,毎年30件を超える事業に支援してきたところでございます。 商店街の振興は,地域の特性を生かしながら,やる気のある若者を取り込むなど,商店街組合や市町村が創意工夫を凝らした取り組みをみずから行うことが重要であり,県といたしましては,そうした活動を支援し,個性的でにぎわいのある商店街づくりに努めてまいりたいと考えております。 次に,中心市街地の再生についてでございますが,県では,空きビル対策も含め,市街地を整備改善するハード事業と商業を活性化させるソフト事業を一体的に推進するための中心市街地活性化基本計画の策定を,市町村に働きかけておりました。現在,4市町で策定されているところでございます。 基本計画を策定した市町に対しましては,商業集積の機能を高めるための地域交流センターなどへの補助や,大型空き店舗を魅力ある商業施設へリニューアルする補助等が利用可能でございまして,こうした制度を有効に活用し,市街地の活性化が実現するよう,指導,助言しているところであります。 また,計画を策定していない市町村に対しましては,地域の特性を生かし,ソフト事業に重点を置いた基本計画を策定するよう,今後とも働きかけてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(千田博通君)  土木部長山中義之君。   〔 土木部長 山中義之君 登壇 〕 ◎土木部長(山中義之君)  お答え申し上げます。 まず,中心市街地活性化に関しまして,まちづくり情報ステーションについてでございますが,岡山市表町に事務所を開設いたしまして,この7月より,県民,まちづくり団体,市町村等への情報提供や相談業務を行いますとともに,まちづくり団体の情報等のデータベースを構築しているところでございます。現在,住民参加のワークショップなどにつきまして,月20件程度の相談を受けております。このまちづくり情報ステーションの活用によるまちづくり活動の活発化が,県内の中心市街地の活性化に寄与するものと考えているところでございます。 次に,国道2号立体化事業の工事中の渋滞対策についてでございますが,現在整備が進められております国道180号岡山西バイパスや,十日市西町地内の都市計画道路下中野平井線に加え,工事区間前後にあります,米倉交差点や福富交差点での右左折車線の増設などの改良を行いまして,これら道路を迂回路として利用することにより,交通の分散化を図ることとしております。 さらに,国におきましては,高速道路への転換策や,マイカー自粛運動などの対策を検討しておりまして,県といたしましても,岡山市とも連携をしながら,これらの渋滞対策について,できる限りの協力をしてまいりたいと考えております。 次に,地方振興局の再編に関しまして,ダム管理体制についてでございますが,現在,災害時におきましては,関係機関への連絡や警報車による巡視・警報活動につきまして,振興局建設部から職員を出動をさせておりますが,振興局再編後におきましては,新たな防災体制を検討する中で,県民局の職員の出動や,市町村との連携などにより,適切なダム管理体制を整備してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(千田博通君)  教育長宮野正司君。   〔 教育長 宮野正司君 登壇 〕 ◎教育長(宮野正司君)  お答えをいたします。 道徳についてでございますが,日本人の道徳性は,長い歴史や文化の中ではぐくまれ,我々の心の中に深く根づいてきたものでございますが,戦後の社会的風潮といたしまして,ともすれば物質的な豊かさを追求する余り,しつけやモラルなどの心の豊かさがおろそかにされてきたことは否めないと思います。一方,例えば,阪神・淡路大震災の極限状況において,市民の方々の秩序ある行動や,若者を含め多くの人々がボランティアとして支援に駆けつけたことにあらわれましたように,今も日本人の心の中に道徳性が息づいていると思っております。 また,現在,御紹介のございました新渡戸稲造氏の著書を初めとして,武士道に人々の関心が寄せられております。テレビの大河ドラマ「宮本武蔵」や「新選組!」,映画「ラストサムライ」の影響もあるとは思いますが,この背景には,先行き不透明で混沌とした世相の中にあって,人々が生き方の道しるべとして何かを求めているあらわれではないかと,このように思っております。 こうした人々のよりよく生きることへの関心の高まりがさらに広がり,家庭,学校,地域社会において,改めて倫理観や公共心を高めようという機運の醸成が図られますよう努めてまいる所存でございます。 以上でございます。 ○議長(千田博通君)  24番草苅隆幸君。   〔 24番 草苅隆幸君 登壇 〕 ◆24番(草苅隆幸君)  答弁ありがとうございました。若干理解ができないところがありますので,再質問させていただきたいと思います。 災害における危機管理の問題でありますが,総務部長,14年からチームをつくって危機管理監を配置してやっておられるということでありますが,私は,今回のこの台風16号を初め18号で,この危機管理に対する県民の生命と財産を守っていくということから,こういう危機管理体制をとられて,それに対するマニュアルというのをつくってきたわけでありますから,このマニュアルによって今回の災害がどう影響といいますか,こういう部分が危機管理ということで有利に働いているんですよということをちょっとお聞きをしたいと思うんです。そこら辺を少し。 それから,全庁的なマニュアルについては,今年度行うということでありましたけど,今市町村の責任,退避勧告等についてはわかります。ただ,あそこが悪かった,ここが悪い,それじゃあこのように対応します,防波堤をつくっていきます,防潮堤をつくっていきます,当然だと思うんですけれども,どういうマニュアルをつくっておって今回対応した結果がこうであったというとこら辺をやっていただかないと,危機管理監を送って,2年のチームをつくってきてやった成果は何なのかということが読み取れないわけでありまして,そこら辺を少し説明をいただきたいと思うわけであります。 それから,職員の配置の問題,たしかこれは全員配置だったか,総勢2,000人が今回に対応されたということでありますけれども,一部には,例えば私はよくわかりませんが,税務の職員の人がそれだけ配置をして何の対応をされておったのかというような疑問もあるわけです。例えば,土木の方は,道路が大変だ,やはり潮が来ておる,水門が大変だ,農作物が潮をかぶっておる,どうなのかというのは当然であるわけでして,それなりの対応というのは十分やらなきゃならいし,やられたであろうと思うわけでありますけれども,そこら辺がよくわからない。で,ボランティアも頑張れということでありましたけれども,例えば終わった二,三日後に,職員の人,やりくりをして3分の1ぐらい支援に出かけていったら,玉野児島方面へ出かけていったらどうかというようなことも提案すれば,やはり被災地の方々は,「県庁からわざわざ来てくれたんか,助かった」ということもあったんではないかというように思うんですが。そのようなことをやられる方が,私は大いに,全員夜中におって,できない部署というのもあったんではないかと思われるんですが,そこら辺を少し掘り下げて御答弁いただきたいと思うわけであります。 それから,2号線の立体化についてであります。知事,この立体化の問題でありますけれども,福富西は前後の高架橋で非常にすりつけが難しいということでありますけれども,このバイパスができた30年前ですけど,地元の方というのは,都市計画による土地の買い上げということではないんですね。古いあれで読みますと,区画整理によって寄附をされてるということでありまして,ただその寄附ということが,地元の有力なといいますか,大変な大きな地主が,わしらもたまにゃあ上がりたいんじゃと,効果を利用したいんじゃということで,あそこが下におりたということを聞いてるんです。そういうことで,建設省が30年前にそういう予測もできなかった,今としてみたら大変なことになったということでありますから,ぜひ今の判断はまた20年ぐらい先でないと,そりゃ判断されないと思いますけれども,「当時の石井という知事がおってな,これを強引にやってくれて,国土交通省にねじ込んだというか,要望してくれてこうなったんだ」というのは,きちっとそこへ残ると思うんです。知事,何としても,やはり物理的に難しいとは思いますけども,側道を利用して上下2本を交互に利用するということになると,私は可能ではないかと思うんですよ。 ただ,すりつけは,壊さにゃいけないということを言ってるんです。壊さないと,きちっとこうなってるとこにこうつけると,こっちの今の既設の部分というのは壊していかなきゃ難しいというから,壊してでもいい,旭川にびちっとつければ,私はできるんじゃないかと思うんです。ぜひ,大きな力として知事に持っていただきたいというように思いますし,そして部長にこの工事の2年間の渋滞対策もいろいろと言われておりましたけれども,私は国土交通省,そんなに信用しているというか,説明責任ができてるとは思えないんです。この高架が発表された,1年前にされたんじゃ,1年間の調査ということを再三聞いておったんですけど,今調査してます,してますと言いながら,いきなり……。 ○議長(千田博通君)  草苅君,発言時間を超過しておりますから,注意します。 ◆24番(草苅隆幸君)  (続)はい,わかりました。いきなり,新聞発表で概要が示されたわけで,そこら辺は私はおかしいと思います。 以上,よろしくお願いいたします。 ○議長(千田博通君)  答弁を求めます。 知事石井正弘君。   〔 知事 石井正弘君 登壇 〕 ◎知事(石井正弘君)  再質問にお答えいたします。 福富西交差点の立体化の問題でありますが,私も当交差点につきましては,立体化していただければと,このように願っております。その点,国土交通省に対しまして,私も,どうにかならないかということを説明受けたときに疑問を発しましたけれども,今,草苅議員もいみじくも御指摘されましたとおり,前後の高架橋が非常に接近をしてる。高架橋が接近して,この福富西交差点が下にすりついてるということでありまして,これをその御指摘のように,中四国一番交通量が多い,この車を通しながらこの事業をやっていくという,今までにない,初めての事業手法をとられようとしているわけでありますので,その交通量を全部遮断すれば別でございますけれども,そのままでこの接近している高架橋,それを福富西交差点を立体化しようとしますと,高架橋を両方壊して,2つの今の高架橋を壊して,全体3つの道路を高架橋にしていくという大工事になるわけでありまして,これが技術的には極めて難しいという説明を今受けていると,こういうことでございます。 そのような説明でございますんで,これは技術的な話でございますので,私も地元の要望等を受ければ,ぜひしていただきたいという願いは強く持っておりますが,国土交通省がそのような御判断をされたと,このように承っております。私自身もそういうことを願いながらも,現実がそういうことでやむを得ないということで検討されておるという国土交通省の説明でございますので,私自身,今までそういう要望をしてきたということを,ここでは報告をさせていただいて,答弁にかえさせていただきたいと,このように思っております。 以上でございます。 ○議長(千田博通君)  総務部長前田一浩君。   〔 総務部長 前田一浩君 登壇 〕 ◎総務部長(前田一浩君)  お答え申し上げます。 今回の台風災害に対しまして,その危機管理上のマニュアルなりがどういう形で生かされてるかというお話でございますが,細かいことを申し上げればいろいろな点がございますけれども,まず一番大きな点は,災害の種類,それからその程度,例えば,いわゆる警報が発令された段階なのか,予報が発令された段階なのか,そうした気象庁から寄せられますそういう災害に関します災害の程度,これが当然のことながら示されるわけでございますけれど,そうしたものにあわせまして,本庁,それから振興局を含めました県全体の災害体制,こういったものを順次警戒体制レベルを上げていくというふうな形にしております。言ってみますと,警戒体制をしくのはこれぐらい,そして特別警戒体制をしくのはこれぐらい,そういったものに従いまして,本庁それから振興局部を含めました県庁全体といたしましては,その体制がしかれていったという意味では,私,円滑にその部分は進んでいったというふうに考えてございます。 ただ,問題になりましたのは,先ほども私の答弁で申し上げましたけれども,そうした県からの体制というものは順次上がっていったわけでございますが,市町村の方におきます,言ってみますと情報収集等にいろいろ問題がございまして,今後,私といたしましては,そういった県庁だけでなく,市町村におきますそういった対応も視野に入れながら,今後関係いたします市町と十分協議を行いまして,今回の台風災害,市町村も含めた全体県としてどうあるべきかという点から議論を重ね,県全体としての防災体制っていうものをアップさせていきたいというふうに考えているところでございます。 それから,職員をどの程度,今回こういった状況にあわせて残すかということにつきましては,これは基本的には現場をまさしく預かっております,本庁あるいは振興局の各部の所管部長が,これが適宜判断をするということにしておりまして,今回におきましても,それぞれがその業務,そしてその置かれている状況に応じ,適切に判断をしたものというふうに承知しているところでございます。 以上でございます。 ○議長(千田博通君)  この際,午後1時まで休憩をいたします。        午前11時59分休憩   ~~~~~~~~~~~~~~~        午後1時0分再開 ○副議長(中塚正人君)  休憩前に引き続き会議を開きます。 一般質問を継続いたします。 11番小林清子君。   〔 11番 小林清子君 登壇 〕 ◆11番(小林清子君)  自由民主党の小林清子でございます。 厳しい財政状況の中にあって,2期8年間,県政をリードされ,多大な業績をお残しになられました石井知事に対し,まずもって深甚の敬意を表し,通告に従い,順次質問をさせていただきます。 最初は,災害対策についてでございます。 さきの台風16号は,岡山県においても非常な猛威を振るい,特に瀬戸内沿岸では暴風雨と大潮が重なったため,家々はたちまち浸水,家具を総なめにし,車も畳も電化製品も全部使用不能になる甚大な被害をもたらしました。この台風での全国の死者は12名,岡山県においても1名の被害者が出てしまいました。被災された現地においては,今も浸水した家屋の片づけに追われる毎日で,亡くなられた方,被害に遭われた方々には,この場をかりまして心より哀悼の意を表し,お見舞いを申し上げます。 私も,翌日には地元の現地に入り,いろいろなお話を伺ってまいりました。本日は現地の生の声も交えて,災害対策のあり方について質問してまいりたいと存じます。 まず,このたびの台風に先立つ,ことし7月,新潟,福島,福井を襲った集中豪雨で20名を超える犠牲者が出たことは,大変心を痛めたところでございます。その後も,台風によって日本各地で死者が出る状況が続いており,これからの時期も大変心配でございます。ここ数年,異常気象によるものか,我が国のみならず,近隣諸国でも水害を中心に大きな災害が起こっているところでございます。こうした状況により,また今回,自分の目で現場を見て回って,従来の防災対策を一歩踏み込んだ対策が必要ではないかとの意を強くしたところでございます。 まず,第1の点ですが,避難勧告,避難指示のあり方についての疑問です。台風や集中豪雨などにより,災害が予想される場合,自治体の首長は避難勧告や避難指示をすることができると,災害対策基本法に定められています。過去の事例やデータを基準にした危険度目安を設け,これらの基準を超えた場合に勧告指示がなされるわけで,こうした基準自体がそもそも盲点になっているのではないかという疑問でございます。 私が現地でお年寄りから聞いた話では,最高の高潮の波の高さは,これまでの人生で経験したことのないものであったとのことでございました。その結果,防潮堤防が久々井で2カ所決壊し,沿岸ではかなりの高台にある家屋までもが冠水したということでありました。このような生々しいお話を伺うにつけ,過去の気象データに基づく危険度目安は,実態には余り役立たないのではないかということでございます。 9月1日の新聞記事によれば,30日夜の瀬戸内海沿岸の潮位は過去最高を記録したとあります。過去の観測データを超える想定外のことだったと報告されているわけでございます。この想定外だったということがそもそも事後的説明であり,危機の管理というのは,本来過去の災害事例で対策を考えるのではなく,最悪を想定した予見対策型危機管理にしていかなければならないのではないかと思う次第でございます。 同じ新聞の9月2日では,岡山県内で避難勧告の対象地域の8,243人に対し,実際に避難した人は1割にも満たない561人だったとか,岡山市で一番の浸水被害の出た久々井地区では,避難勧告が出た約2時間前から高潮による浸水が始まっていたと報じています。 さらに,7月の新潟の事例は,この危機管理を実際にどのように機能させるかという面で,大きな教訓を残したと言います。それは,河川のはんらん地域の中で,避難勧告のタイミングの差が明暗を分けてしまったという点で,相当早くから避難勧告を出した見附市には犠牲者はおらず,堤防決壊の12分前に勧告を出した中之島町及び決壊後の勧告になってしまった三条市などでは,お年寄りの在宅者を多く犠牲にしてしまったということでございます。 言わずもがな,避難勧告,避難指示の指揮命令は,自治体首長の判断に大きくゆだねられているわけでございます。判断が難しいことは理解できますが,首長は早期の情報収集に努めた上で,空振り,ミスリードを恐れることなく,早目の勧告に踏み切る必要があるわけでございます。この空振りを恐れず,危機に対応する気構えを持つというスタンスを,県下全体に徹底させていくことが大事なことではなかろうかと思う次第でございます。先ほどの予見・予知型危機管理体制の考え方にあわせて,いかがでしょうか。 次に,高齢化社会における災害対策危機管理体制という点で質問いたします。 ある老夫婦に伺いましたところ,30日夜10時ごろ,玄関に水が来たなと思ったら,瞬時にして床上浸水となり,地域全部が停電,電話も不通,携帯電話も濡れて使えず,だれにも連絡がとれず,慌てふためき,とにかく高潮を逃れるために,何一つ持ち出すこともできず,外にも出られず,自宅2階に避難して,不安な一夜を過ごしたということでございました。 新潟や福井の例では,逃げおくれたお年寄りが自宅で犠牲になっており,新潟での死者はすべて高齢者であったという報道さえありました。高齢者が自力で避難できず犠牲になった悲劇には,まことに心が痛むところでございます。家族のあり方も大きく変わり,ひとり暮らしのお年寄りが今後もますます増加していくことは明らかで,災害時の対策を従来にも増して,手厚いものにしていくことが肝要であると存じます。お年寄りが早期避難できるような体制を,行政だけでなく,近隣の自主防災組織を含めて構築していくことが大切ではないかと考えます。 また,某市の犠牲者が出た地区の事例では,広報車が避難勧告に来たのは,水が引いた後,音も小さく聞こえなかったということであったそうでございます。しかし,幸い,我が県においては,全国に誇れる最新の情報ネットワークが構築されているのですから,ぜひ防災の面にもこうした技術とインフラを活用していただきたいと思います。 各地域における防災組織のあり方及び現在の防災通報の整備状況と今後の情報ネットワークの活用について,お考えを知事に承りたいと存じます。 次は,ダム対策についてでございます。再び,新潟の災害の事例に戻り,ダムの洪水調整の問題に対して考えていきたいと思います。一部の新聞報道によりますと,今回の新潟の災害の原因と言われているものに,被災流域の上流にある笠掘ダムの放水問題があると言われています。具体的に申しますと,前夜からの集中豪雨により,ダムの貯水容量が限界に達し,ダムの管理者は決壊の危機に直面したため,自治体に連絡した後に放水を行ったというものであります。このことが事実であったとしても,ダムそのものの決壊が発生すれば,被害はさらに甚大なものになったであろうと予想されますから,この放水状態は正しかったものと思われますが,ダムの放流が下流域の堤防決壊の一因であるとすれば,下流の住民の安全確保について,幾つかの警鐘を発しているのではと考えます。 一つには,ダムの危機管理や放流に当たっては,情報を関係機関や地域住民にいち早く伝えることが重要だと考えますが,岡山県におけるダムの危機管理の連絡体制がどのように整備されているのか,お伺いいたします。 次に,ダムそのものの管理問題であります。完成から年月を経過したダムでは土砂が堆積し,設計当初の洪水防止機能が貯水容量の減少によって次第に損なわれているものがあると,専門家が指摘しています。ダム管理の点で,実質貯水容量を毎年計測し,場合によっては堆積した土砂をしゅんせつして,当初の貯水容量を確保できるようにするといった予防措置がなされているのかどうかという不安があるわけでございます。本県のダムの堆砂状況と,それに対する対応について御教示願います。 戦後,国土の保全等を目的に,全国に大規模の多目的ダムが建設されました。多目的ダムは,防災治水,農業振興,水源開発,電力確保等,多様な機能を担っており,予算的にも所轄部署も横断的になっているのではないかと思われます。今後,先人の残してくれたものを十分に生かし,住民の安全を守るためには,ダムの機能の確保を継続的にチェックし,適切な維持管理を進めていかなければなりません。新潟の災害は,このダム機能の管理体制の重要性について,大自然が注意喚起したものであると言えます。岡山県におけるダムの管理運営体制がどのようになっているのか,また適正な予算が措置されているのか,あわせてお伺いいたします。 この項の最後に,苦言を一言申し述べます。今回の台風の後,被災地の方から,行政の手配が何一つなかったとの不満がございました。被災者にとっては,水につかった重い家具の持ち出しなど,消防団による後片づけの協力や,おにぎりの炊き出しといったことが欲しかったのだと思いました。被害の少ない地域の私たちは,これを機に,もう一度防災体制の見直しが必要だと思いました。 次の質問に参ります。いわゆる三位一体の改革については,既に相当の期間をかけて論議をし,また昨年度の予算編成の時点から一部実施されているわけでありますが,ことし8月の全国知事会における義務教育費国庫負担金削減の決議に関連して質問したいと思います。 最初に,時間的経過について確認しますが,本年6月に日本経済新聞が実施したアンケート結果では,義務教育費国庫負担金の廃止について,大多数の知事が,支給額の大きな義務教育費を削減せず,福祉など広範囲な分野での取り組みを優先すべきだという考えであることが明らかになっておりました。すなわち,この時点では,全国知事会のレベルでの明確な意思統一はできておらず,むしろ消極的な意見が多数であったと思われます。 ところが,8月16日に至り,全国知事会は,義務教育費国庫負担金の一部削減を含む,総額3兆2,000億円の国庫補助負担金改革原案を決定,8月19日に少数意見を付記した上で,原案どおりの削減案を採決しました。この決定に対して,いろいろな立場からの異論があり,今後の推移では,義務教育の見直し論議などの争点からの迷走も予想されています。一部には,十分な論議を経ずに,このような決定をしてよかったのかという声もございます。 私は,この間の全国知事会において,地方制度調査委員会委員長という本案取りまとめの立場に立たれていた石井知事に,8月の全国知事会における決定までの経緯と,これからの三位一体の改革の目指すべきゴールと,今後の義務教育費国庫負担金の削減案提出との整合性,さらに岡山県における本県の税源移譲後の基本的な予算骨格についての考え方をお聞かせいただきたいと存じます。 8月19日の知事会採決以降も,例えば自民党,公明党の会合において,それぞれ異論が上がっており,年内の調整は難航必至という報道もありますが,国と地方の税財政を抜本的に組みかえ,地方の裁量権を広げるということが本質的な改革の目的であれば,地方を変えていくためには,聖域化されていた制度にもメスを入れて,みずからの痛みも恐れない,そうした地方の意気込みがあってこそ,真の分権改革が推進されると思います。 知事は9月議会冒頭での提案説明の中で,義務教育費国庫負担金については,「改正,廃止後も引き続き地方が確実に負担しなければならず,税源移譲に結びつきやすいもの」という表現で,本件についての妥当性を語っておられます。しかし,一方で,財政の運営は具体的なものであります。地方分権の確立という,いわば戦後の税財政の枠組みを大きく変化させるという理想と,足元のやりくりを迫られる財政運営をいかにバランスをさせていくのかという課題を,相当に具体的なビジョンで克服していかなければならないのが現実であろうと思います。 私は,今般の改革論議の経過を見てまいりまして,いかに現実的な運営が可能になるのかというセーフティーネットを準備した上で,地方分権を推進していくという点が,政府にも地方にもやや希薄なのではないかと感じております。マラソン選手は,体力の消耗を防ぐために,水を飲みながら走ります。財政運営も,絶えず体力を維持しながら,目指す目標に向かって走らなければならないと思います。体力消耗をいかに防ぐか,長きにわたり中央官庁での御経験豊かな石井知事には,この点で卓越した御見識がおありと存じます。義務教育費国庫負担金の廃止に伴う税源移譲に対応し,今般先細りになるとの見方が大勢を占める地方交付税の減少に抗しつつ,地方分権のための財源確保と全国レベルの義務教育の機会均等などの維持をどのようにバランスさせていくべきなのかという点について,知事のいま一歩踏み込んだお考えをお伺いいたします。 最後になりましたが,知事には見事3選を果たされ,次の議会の場で再びお会いできることを楽しみに,質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました(「会えるかどうかわからんで」と呼ぶ者あり)。必ずお会いできると思います。 ○副議長(中塚正人君)  答弁を求めます。 知事石井正弘君。   〔 知事 石井正弘君 登壇 〕 ◎知事(石井正弘君)  自由民主党の小林議員の質問にお答え申し上げます。 まず,災害対策にかかわる幾つかの問題でございます。 避難勧告等のあり方でございますが,今回の高潮災害におきましては,残念ながら一部の市町村におきまして,避難勧告のおくれ等の問題点があったということも,これは否めないことと,このように考えております。今後,今回の高潮災害を市町村と検証する予定としておりまして,その中で,御指摘がございました,空振りを恐れずと,こういう観点からも協議を行ってまいりまして,今後の避難勧告や指示等に反映させるよう,市町村に対しまして助言に努めてまいりたいと存じます。 また,危機管理につきましては,災害や事故,事件等,さまざまな危機を想定いたしました被害を最小限に食いとめるための方策と体制を講じますとともに,不断の見直しと平素からの危機管理意識を醸成しておくということが重要であると考えております。お話がございました予見・予知型危機管理体制につきましては,災害等の発生予測に当たりまして,過去のその例というものを参考とせざるを得ないという面もございますけれども,御提案の考え方にも十分配慮して対応していくことといたしたいと存じます。 高齢化社会における防災組織のあり方でありますが,御指摘のとおり,ひとり暮らしの高齢者の避難対策につきましては,地域に密着した自主防災組織等の活動が大変重要であると考えておりまして,県では,今年度から補助制度を創設いたしまして,自主防災組織の設置促進を図ってきているところであります。 また,地域における防災力の向上には,共助の充実ということが不可欠であると考えておりまして,自主防災組織の充実強化を図るために,リーダー研修会を開催しておりまして,今後は高齢者など災害時要援護者対策に関する内容,これらも取り入れるなど,地域ぐるみの防災体制の構築に,市町村と連携いたしまして取り組んでまいりたいと思います。 防災通報の整備状況等でありますが,現在,県では,全市町村や防災関係機関との間で,県防災行政無線を整備いたしまして,迅速,的確なる防災情報の伝達を行ってきております。また,市町村におきましては,住民への情報伝達手段といたしまして,市町村防災行政無線同報系が38市町村で整備されておりまして,そのほかは有線放送,広報車等によって伝達されているという状況でございますが,地震や停電など災害に強い市町村防災行政無線同報系の導入が図られますように働きかけてまいりたいと思います。 なお,現在の県防災行政無線は,情報通信技術の進展にあわせまして,設備更新を行っていく予定としておりまして,その際,議員御指摘の岡山情報ハイウェイとの併用によって,高度化された防災ネットワークの構築を計画予定しております。このネットワークを通じまして,県民の皆様方は,県や市町村から直接入力されましたその防災情報というものを,インターネットあるいは携帯電話等を通じまして,リアルタイムで県民の皆様はその情報を知ることができる,県市町村からはリアルタイムで提供することができるシステムでございまして,その整備を検討しているものでございます。 ダム対策であります。 連絡体制でありますが,放流等の正確な情報を関係機関や地域住民に迅速に伝達することが極めて重要でありまして,毎年洪水期前には,関係機関及び地元住民の代表者を集めまして,通報体制の周知徹底を図っております。また,ダムの放流に際しましては,下流市町村,警察,消防等に対しまして一斉連絡を行いますとともに,サイレン及び警報車による周知を図るなど,連絡の徹底に努めるているところであります。 現在,水防テレメーターシステムによって主要なダムの水位,流入量,放流量等をリアルタイムで収集し,県と市町村で情報を共有しております。今後は,情報ハイウェイを活用いたしまして,これらの情報を県民の皆様方へも提供するシステムを整備する予定でございます。 堆砂状況等でありますが,毎年,堆砂量の調査を実施しておりまして,一部のダムで堆砂が進んでおりますものの,御指摘の洪水防止機能が損なわれる状況とはなっておりません。今後とも,堆砂状況の把握に努めながら,治水,利水など,ダムの機能低下が生じないように,適切なる対応を行ってまいりたいと思います。 管理運営体制等でありますが,ダム管理事務所において,日常業務としてダム本体の状態やゲートなど,放流設備の管理点検を行いますとともに,3年ごとに,国が定めたダム検査規定に基づく定期検査を実施するなど,安全確保に努めてきております。また,ダムごとに,維持補修に関する計画というものを作成いたしまして,発電,水道,工業用水など,ダム共同事業者とも連携を図りながら,必要なる予算の確保に努めているところであります。 次に,義務教育費国庫負担金に係る御質問であります。 全国知事会の案決定の経緯等でありますが,義務教育費国庫負担金を改革案に盛り込むことに対しましては,確かに賛否両論がございました。会議の直前には,反対の意見が多いやの報道もごらんになったかと思いますが,私は冷静に見ておりまして,間違いなくこれは過半数──3分の2になるかどうかという議論はありましたけれども,過半数の知事の皆さんは,賛成をしていただけるものと,このような思いでございました。ただ,3分の2の確信は,その会議当日まで持てませんでしたが,いずれにいたしましても,現行法上,この義務教育の実施は,皆様御案内のとおり,法定受託事務ではなくて地方の自治事務と分類されております。我々の独自の事務であります。そして,真の地方分権の確立のためには,何としても税源移譲を実現していかなければならないということから,すなわち,小泉総理の方で,3兆円規模の税源移譲を先行実施するということを骨太方針等で明記をしていただいたと,この小泉総理の声にこたえていかなきゃいけないという思いが強くございました。したがいまして,税源移譲に結びつきやすく,また地方の自由度の向上も期待できるということから,この負担金を廃止対象としたものであります。義務教育費国庫負担金が廃止をされ,一般財源化されますと,地方の実情に応じました独自性のある教育施策を推進することができるようになるところでありまして,三位一体の改革が目指すべき,地方の自主性の拡大に資するものとなるものであります。 また,今回の知事会の案では,税源移譲だけではなく,その廃止縮減に応じまして,地方交付税等によります所要の財政措置がなされるべきであるということ,このことを前提条件として指摘もしているところでありまして,その実現を図った上で,私といたしましては,税源移譲後も必要な義務教育費につきましては,的確に予算措置をして,教育に対しては全力を払って,重点課題として取り組んでいかなきゃいけないと考えております。 財源確保と教育の機会均等の維持でありますが,このたびの地方6団体の改革案では,地方分権改革を進めるという観点から,先ほど申し上げましたとおり,義務教育費国庫負担金の全額を確実に地方へ税源移譲し,そして必要な地方交付税措置につきましても,一体的に同時にこれを行うということを求めております。前提条件としております。 私は,これまでも,厳しい財政状況の中ではありますが,県独自の施策といたしまして,小1グッドスタート支援事業や,中学校の35人学級の拡充など,義務教育の充実に取り組んできたところであります。今後とも,より地方の実態に即した施策というものを展開して,本県の教育の基盤となります義務教育の条件の整備に,最大限の努力を払ってまいりたいと,このように考えております。 三位一体の改革,このたびの改革は,もうまさに総理自身が,3兆円をあらかじめ先行実施ということで明示をしていただきました。これにこたえるべく,地方といたしましては,千載一遇のチャンスととらえまして,いろいろ議論はあろうかと思いますが,ぜひともこの声に,総理の期待にこたえて,3兆円規模での税源移譲をぜひ実現していきたいと考えております。県議会の皆様方の格別の御理解を賜れば,幸いに存じております。 以上でございますが,先ほどは,私に対しまして,温かい励ましのごあいさつをいただきまして,まことに恐縮でございます。ありがとうございました。再び,この議場におきまして,小林議員とお会いできますことを楽しみにいたしております。それまで,ぜひ御壮健で御活躍いただきますように,御期待をいたしております。 以上でございます。 ○副議長(中塚正人君)  5番小倉弘行君。   〔 5番 小倉弘行君 登壇 〕 ◆5番(小倉弘行君)  自由民主党の小倉弘行でございます。 まず初めに,台風16号,18号におきまして,不幸にも亡くなられた方に対してお悔やみを申し上げますとともに,災害に遭われた方々に対して,心からお見舞い申し上げます。 また岡山県の迅速な復旧支援策に対して感謝申し上げます。しかし,おとつい,私も地元の被災地域を回らせていただきましたが,いまだに復旧作業が進んでおらず,災害のつめ跡が大きく残っておるのが現状でございます。引き続き,画一的な支援策にとどまらず,地元の方々の声を反映し,臨機応変な対応を要望させていただきます。 また,10月は,岡山県知事選挙でございます。石井知事におかれましては,2期8年,この非常に厳しい岡山県の財政状態の中で,すばらしい御活躍をされてこられました。その実績と3期目の意気込みをしっかりとアピールしていただき,再度お目にかかることを念願いたしております。8年前の非常に厳しい選挙を思い出していただき,さらに一歩進んだ,「開かれた県政」,「対話の県政」の実現に向け,ぜひとも頑張っていただきたいと思います。 本日の質問は6点ございます。地方振興局の見直しについて,少子化対策について,不正軽油の取り締まりについて,そして台風16号の災害対策について,義務教育について,塩漬け土地の見直しについて,この6点でございますが,この中で,地方振興局の見直し,台風災害について,また義務教育については,多くの議員が質問されていると思います。しかし,それだけ重要なことでありますので,何とぞ再度お考えいただき,開かれた県知事といたしまして,対話の県政の実現のため,意見反映をお願いいたします。 それでは,質問に移ります。 地方振興局の見直しについて。 行財政改革,地方分権の推進に伴う大きな問題の一つに,地方振興局の再編の問題が位置づけられます。市町村合併の推進により,各自治体の機能が強化され,そして広域化に伴い,地方振興局もより広域な範囲で考えなければなりません。また,機能が強化された自治体に,権限の移譲をしていかなければなりません。地方振興局の必要性は,中核市である岡山市,倉敷市と,県庁から離れた遠隔地にある自治体とでは全く別であると,私は考えております。 執行部の提案では,9つある振興局を3つにまとめ,段階的に残った6つの振興局は,支局から現地事務所として必要な機能を残すとされております。また,ねらいとしては,広域化による機能強化,多様な主体との協働の推進,簡素効率的な組織・執行体制の確立が上げられています。 私は,第3次行財政改革の中で,行政組織の効率化,行政の二重構造の廃止が最重点課題であると考えております。ただ,9局を3局に地域的に結合するのではなく,権限を移譲できる自治体に対しては,積極的に権限移譲し,財政基盤の弱い自治体や,県庁から遠い地理的な問題を抱える地域には,総合出先機関を充実させるなど,具体的に申し上げますと,岡山・倉敷局は県庁内に機能を移し,残りの地域,東備局が一つ,勝英・津山・真庭に一つ,高梁・阿新に一つ,井笠に一つ,合計4つの地域配分がよいのではないかと考えております。このように,総合出先機関としての機能の点や,行政の合理化を考えた,めり張りのある組織にしてはどうかと考えておりますが,この提案に対して,知事はどうお考えでしょうか。 また,このたび提案された素案に対して,パブリックコメントや議会での意見を参考にして,11月に最終案を取りまとめるとされておりますが,どのように意見反映をされるのか,どこまで可能なのかをお聞かせください。 次に,少子化対策でございますが,今朝も新聞を見ますと,長崎の小学校6年生の事件の結果が出ていたり,また同居する男性に2人の子供が殺されたり,また父親を刺して放火するといったような,子供に関する大変嘆かわしい新聞報道がきょうもありました。私も,子供が5歳と3歳,そしてこのたび8月に3人目が生まれましたけれども(「おめでとう」と呼ぶ者あり),ありがとうございます。3人の子供を持つ父親として,本当に子供たちの将来を危惧するわけでございますが,その間,私も幼稚園に送っていったりしておりますけれども,子供たちの顔を見るたびに,そういうふうに思っております。 それでは,質問させていただきますけれども,少子化対策についてでございます。 先般発表されました平成15年の合計特殊出生率は,全国で1.29,岡山県では1.38と,いずれも前年より0.03から0.04低下しております。現在の人口を維持するためには,2.08が必要と言われていますが,1970年代半ばから,この数値を下回っているのが現状で,回復するめども立っておりません。未婚化晩婚化という結婚をめぐる変化に加え,結婚した夫婦の出生力そのものも低下しております。このままでは,さらに出生率の低下が進むと予想されます。社会情勢の変化の中で,核家族化や都市化による家庭の養育力の低下,かつては親族や近隣から得られていた支援や知恵が得られにくいという育児の孤立化,近くに一緒に子供を支えてくれる人が少なくなったことにより,育児の負担感が大きくなったこと,共働きがふえ,家庭生活との両立が困難であること,結婚や家族に対する意識の変化や,個人の趣味や自己実現の考え方など大きく変化し,その原因は多種多様であり,複雑化していると言えます。 こうした少子化の急速な進行は,社会や経済に大きな影響を与えており,経済成長の鈍化,税や社会保障における負担の増大,地域社会の活力低下など,少子化の結果としての人口構造のゆがみに起因しているところが大きいわけであります。さらに,少子化が進むことによって,同年代の仲間とのつながりや,健やかに育つ環境が次々と喪失していく悪循環を生んでいきます。 また,子供を取り巻く環境も,子供たちだけで伸び伸びと外を遊び回れるような場所が少なくなり,多種多様,有害なものを含め,子供たちの意思にかかわらず情報がはんらんし,ゲームやパソコンなどによるバーチャルリアリティーな世界,親が子を,子が親を,子供が子供を殺すような凶悪な犯罪など,子供を育てるには大変厳しい環境であると言えます。 少子化社会対策大綱にもありますが,若者の自立とたくましい子供の育ち,仕事と家庭の両立支援と働き方の見直し,生命の大切さ,家庭の役割等についての理解,子育ての新たな支え合いと連帯,これら少子化の流れを変えるための4つの重点課題に則して,国においては新新エンゼルプランを策定されると聞いております。少子化の原因や課題に対して取り組みをしても,なお年々合計特殊出生率が下がってきています。また,長年にわたる少子化傾向に対して,さまざまな施策がなされてきましたが,そのかいもなく,徐々に少子化が進んでおります。石井知事は,これら少子化傾向をどうごらんになっておいででしょうか。 また,本県でも「新岡山いきいき子どもプラン」を策定中ですが,これまでの成果と少子化対策大綱での重点課題を踏まえ,どのように新プラン策定に当たるのか,知事の御所見をお伺いいたします。 また,県がことし3月に取りまとめた「新岡山いきいき子どもプラン」策定に関する県民意識調査によりますと,小学校3年生までの子供を持つ保護者と独身男女に意識調査をした結果,少子化の一番の原因は「経済的負担がかかるから」ということがわかりました。対症療法的な視点で考えると,どうしても経済的な負担を軽減していかなければなりません。乳幼児医療費公費負担補助制度の対象年齢引き上げや,ことしの4月から児童手当が小学校3年生まで支給されるなど,改善されている点もありますが,岡山県独自の抜本的な改善策はないのでしょうか。 また,平成13年に,子ども未来財団が,子育ての負担について調査したところ,子育ての負担感が大きいと感じている割合は,共働きの主婦が29%,専業主婦は45%との回答があり,専業主婦の方が16ポイントも高い結果となりました。こうした結果などから,働く親支援策だけではなく,専業主婦支援も重要だと思われます。共働きの親の支援策は,待機児童ゼロ作戦とか,育児休業制度など多々ありますが,専業主婦対策についてはかなり脆弱であると思われます。そこで,家庭で育児に専従する母親たちの支援策の充実について,知事の御所見をお伺いいたします。 不正軽油について。 以前から問題になっております不正軽油の密造についてですが,8月4日に公表した岡山県の調べでは,昨年度は抜き取り調査の結果,不正軽油の疑いがあったものが全体の1.7%に当たり,3年前の約5倍を超え,過去最高になったことが明らかになりました。脱税目的の密造が後を絶たないとされております。平成15年度の軽油引取税の税収は221億円で,平成9年度から減少傾向であり,また不正軽油の生成過程でできる副産物である硫酸ピッチの不法投棄にもつながり,環境面,脱税も相まって,深刻な問題であると言えます。ことし6月に施行された地方税法改正で,不正軽油と知りながら運搬したり購入した人に対して,新たに200万円以下の罰金か2年以下の懲役が科せられるなど,罰則が強化されています。今までも,この問題について質問されてきておりますが,年々悪化する,この不正軽油密造撲滅について,県としてはどのように取り組んでおられるのか,どのような成果が上がってきているのか,総務部長にお尋ねいたします。 次に,台風16号の災害対策についてでございます。 このたびの災害は,一年で一番潮位の高い大潮と台風が重なり,予想をはるかに上回る災害に見舞われたわけでありますが,このたびの台風について,高潮警報が出ていたが,どの程度の潮位で被害が出るのか,現地の人も全然わからなかった。堤防を1メートル以上海面が上がり,あっと言う間の浸水であった。また,今までに例のない甚大な被害が出た。このような問題点が見られました。100年に一度の高潮であったとはいえ,このたびの市町での住民への避難勧告のおくれや,情報伝達のあり方について,危機管理体制を今後整備していかなければなりません。これらの点について,知事の御所見をお伺いします。 また,私が最も要望しておきたい点が3つありますけれども,被災世帯の生活再建支援策をさらに講じていただくこと,復旧工事に早期に取り組むこと,潮位上昇による堤防のかさ上げの3点でございます。生活再建支援策,復旧工事などはもちろん速やかに実行していただかなければなりませんが,中でも気になるのは,近年の温暖化に伴い,海面が全体的に上がってきていると言われていることであります。その結果,堤防の低い箇所だけではなく,最近つくっている堤防でさえ,既に潮位による被害が懸念されている状況であることから,多くの沿岸沿いの方々からは,堤防のかさ上げが要望されております。この点について,知事はいかがお考えでしょうか,御所見をお伺いいたします。 次に,義務教育費の一般財源化等について。 三位一体の改革に伴い,税源移譲を行うことを前提として,国庫補助負担金等に関する改革案が提出されました。この中での義務教育費の一般財源化についてですが,国庫補助負担金の廃止後も,引き続き地方が確実に実施しなければなりません。 次のような問題点が考えられます。義務教育において,国民教育として必要な内容と水準を,国の責任において確保できなくなるおそれがあること。義務教育の水準が,地方の財政状況の変動の影響を受け,不安定化するおそれがあること。また財政力の格差が,そのまま義務教育水準の格差につながることが考えられる。また,教職員の給与費に充てる財源が不足し,給与の低下,人員削減が起こる可能性があるなど,さまざまな影響が出る可能性が考えられます。地方分権に伴い,義務教育においても,地方の独自性が求められる一方で,義務教育段階で習得すべき最低限の学力の保障を考えなければなりません。 そこで,このたびの一般財源化に伴い,岡山県の裁量の範囲が大きくなると思いますが,財政状況等によって,この義務教育費予算が,一定の方針なくふえたり減ったりすることがあってはなりません。そこで,知事に,義務教育に対する位置づけや考え方について,御所見をお伺いいたします。 また,岡山県単独で加配している人員配置に影響がないかどうか,あわせてお伺いいたします。 次に,義務教育の6・3制の弾力化についてですが,義務教育の一般財源化の提案がなされる前に,文部科学省から,義務教育の抜本的改革案が発表されました。小学校6年,中学校3年としている学校制度を,市町村が計9年の枠で独自に編制できる。各科目ごとに,義務教育段階で習得すべきナショナルミニマムを設定。教員免許の取得は,専門職大学院を義務づけ,更新制を導入,義務教育費国庫負担制度の堅持などが盛り込まれております。これらなどは,義務教育費の一般財源化の議論を踏まえて,文部科学省が義務教育の最低限の学力を設定するとともに,地方独自の教育制度が可能となる方針を打ち出したと言えますが,6・3制の弾力化について,岡山県ではどのように考えられているでしょうか,教育長の御所見をお伺いいたします。 次に,塩漬け土地の見直しについて。 岡山県並びに外郭団体による長期保有の土地についてでありますが,さきの6月定例会において,自由民主党の代表質問にも上りました。土地開発公社の土地保有総額は,ピーク時の11年度末に比べまして50%に減少してきておりまして,健全化は進んできているものの,5年以上の長期保有用地は,総額の約29%60億円程度残っているという状況であるという回答がございました。また,そのほか,平成13年,14年に土地開発基金で買い戻し,現在保有している用地も約150ヘクタールあり,金額で言うと約75億円にも上ります。第3次行財政改革を断行している岡山県にとって,これらの不良資産や塩漬けの土地は,これからも大きな問題であり,財政の健全化のためにも,民間に売却するか,他の事業に転用していかなければならないと思います。事業化のめどが立ちにくい土地開発公社長期保有地の買い戻しや,土地開発基金で保有する土地の今後の利用,処分を,どのように進められていくのか,知事にお伺いいたします。 また,土地開発公社以外にも,岡山県住宅供給公社にも,約55億円もの長期保有地があります。平成15年度に分譲価格を値下げして販売する方針を打ち出しましたが,その後,長期保有していた分譲地の販売状況はどうなっているのでしょうか。また,損切りして販売しているのであれば,収支見通しが心配になります。住宅供給公社の今後の経営見通しを知事にお尋ねいたします。 以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○副議長(中塚正人君)  答弁を求めます。 知事石井正弘君。   〔 知事 石井正弘君 登壇 〕 ◎知事(石井正弘君)  自由民主党の小倉議員の質問にお答えを申し上げます。 その前に,先ほどは,3選目にチャレンジする私に対しまして,大変力強い励ましのお言葉をいただきまして,まことにありがとうございました。 まず,地方振興局の見直しについてでございます。 再編に関する新たな御提案を小倉議員からいただきました。具体的な案を提示されたということに対しまして,敬意をあらわさせていただきたいと思います。ただ,敬意をあらわすことと中身がいいということとはまた別のことかと思いまして,その点につきまして御説明申し上げたいと思います。 まず,御提案は,「岡山局,倉敷局は本庁に機能を移し」というお話がございましたが,まず本庁と出先機関は,本来的に企画立案機能と執行機能という異なる機能というものを有しているということを,ぜひ御理解を賜りたいと思います。お話の案によりますと,本庁内にこうした機能が両方混在するということになるところでありまして,例えば,土木部の河川課の中に,建設部の河川関係部局の岡山・倉敷局所管執行部隊がそこに配属される等々,各部局にそういう組織が,班ができると,岡山局,倉敷局にかかわる班ができると,こういうイメージで考えていただければと思うんでございますが,その場合,両方の機能が,本庁として,全体をつかさどっている機能と両方が混在するということになりますれば,効率的な行政運営に支障を来すということと,それから本庁が所管をいたしております,岡山・倉敷の地域におきましては,その地域に則した総合出先機関──岡山局,倉敷局は,全体を調整する局長がいて総合調整等を行っているわけでありますが,そういう調整機能が果たせなくなる,このように考えられます。 次に,所管区域でありますが,各地域の面積,市町村の数のバランス等を考えていただきますと,御提案いただきました案によりますと,最大のものと最小のものとの間におきまして,大きな不均衡が生じることが見込まれます。それから,東備局,井笠局は現状のままという御提案でございますので,そういたしますと,他の統合される地域の住民からは理解が得られるのであろうかという問題,また高梁・阿新につきまして,一緒になりますと,合併後には2市程度,2市あるいは1つの町が加わるかどうかという,その2市程度を所管するということになるわけでありますが,これは行政の効率化といった面から問題がないのか等々,こういった問題を考慮いたしますと,御提案いただきました具体的な案の実現,これは困難な幾つかの問題があるのでないかと存じているところでございます。また,いい別の案がございましたら,御提示をいただければと,このように思っております。 次に,パブリックコメント等の意見反映でございますが,パブリックコメントや公聴会,あるいは今議会におきましても,さまざまな御議論をまさにいただいてきているところでございます。いずれの御意見も真摯に受けとめさせていただきまして,再編案策定の過程で参考にさせていただきまして,第3次行財政改革大綱の趣旨にのっとりまして,反映すべきものがあれば取り入れていきたいと,このように存じております。 次に,少子化対策であります。 安心とゆとりを持って子供を持ち,子育てを楽しむ環境整備などを推進してきたところでございますが,議員御指摘のとおり,全国と同様,本県の少子化傾向も進んできておるという状況にございます。この少子化対策の問題は,大変重要な課題となってきていると認識いたしております。 「新岡山いきいき子どもプラン」の策定に当たりましては,夢づくり政策評価におきまして,目標を大きく上回りました地域ぐるみの子育て支援,きめ細やかな保育等の成果を生かしまして,またお話がございました少子化社会対策大綱の重点課題も踏まえ,子供の幸せということの視点に立ちまして,県民ニーズを十分に反映させ,そしてNPO,ボランティアとの共同によります,地域に密着した子育て支援活動の促進などの岡山県らしい新プランを,年内に策定することといたしたいと存じます。 今後とも,子育て支援というこの課題を,県政の最重要課題の一つととらえまして,新プランに基づきまして,全力で取り組んでいくことといたしたいと思います。 経済的負担に対する軽減策でありますが,確かに御指摘のとおり,県では乳幼児医療費の公費負担補助制度の対象年齢の拡大,ひとり親家庭医療費の一部負担金の軽減,あるいは父子家庭への拡大に取り組んできたところでございます。 ただ,子育てに係る経済的負担の軽減という,この大きな問題は,これは全国的に取り組んでいくべき課題であると,このように考えておりまして,県といたしましては,児童手当制度,奨学金制度のさらなる拡充,乳幼児医療費公費負担制度の創設,保育料の負担軽減など,経済的な負担に対する軽減策について,引き続き国の方に対しまして,強く要請,提案をしていきたいと考えております。 専業主婦に対する支援策でございますが,議員御指摘のとおり,専業主婦は共働きの母親よりも子育ての負担感が高いという調査が出てきておりまして,今御指摘ございました県民意識調査結果から見ましても,社会からの孤立感が高いといったことが明らかになってきております。このため,親子が交流できる集いの広場あるいは母親クラブ,子育て相談等を行う地域子育て支援センター,一時的に子供を預かることができるファミリーサポートセンターの設置促進など,地域ぐるみの子育て支援を推進していきたいと考えております。 台風第16号の災害対策についてであります。 まず,危機管理体制でありますが,今回の高潮は,7月の台風第10号による潮位を上回ると予測されていたところでありますが,これまでにない高い潮位となりまして,甚大なる被害が発生したものでありまして,加えまして暴風雨や夜間の停電も,情報収集活動や緊急連絡の支障になったものと考えております。残念ながら,一部の市や町におきまして,避難勧告のおくれも含めました,住民に対する情報伝達のあり方などの問題点があったということにつきましても否めないと考えております。 今回の災害は,高潮による浸水被害が甚大であったということから,初動体制や情報の収集,避難勧告,住民への情報伝達等につきまして,市や町と早期に検証を行って,今後の危機管理体制の整備や,あるいは対策,これらに反映させてまいりたいと存じます。 議員の3つの御要望ございましたが,そのうちの一つ,堤防のかさ上げでありますが,海岸堤防の高さは,過去に観測いたしました潮位や波浪等を総合的に考慮して計画をしております。現在,今回の高潮によります浸水状況や被災状況の調査を進めておりまして,今後,浸水原因を究明をした上で現在の整備計画の見直しを検討してまいりたいと存じます。 次に,義務教育費国庫負担金の一般財源化でありますが,私は,教育問題を県政の最重要課題として位置づけ,これまでも教育の基盤でございます義務教育の充実に力を入れてまいりました。このたびの地方6団体の改革案では,一般財源化の前提といたしまして,義務教育費国庫負担金の全額を確実に税源移譲を行って,さらに必要な地方交付税措置を行うといったことなどの厳しい条件,前提条件を付すことによって,財源の確保を求めております。 これからは,地方分権化の流れの中,本県の教育水準を維持し,そしてさらにこれを高めるという方向で,教育課題や県民ニーズを踏まえた本県独自の教育施策を強力に推進していくことが分権型社会の教育にあって大切なことと考えております。こうしたことから,これまでも県単独で過疎僻地対策,不登校対策,中学校での35人学級の実施等の加配をしてきているところでありまして,今後も,岡山県独自の教育施策を実施していく上で,必要な人員につきましては措置していきたいと,このように考えております。 塩漬け土地の見直しについての幾つかの御質問をいただきました。 まず,今後の方針でありますが,財政状況等を勘案しながら,土地開発公社が抱える長期保有用地につきましては,土地開発基金を活用して買い戻しを進めていく,その一方,既に基金において買い戻し済みの土地のうち,直ちに利活用が可能なものにつきましては,他用途へ転用し,駐車場として活用するほか,公益法人へ売却するなどの措置を講じているところであります。 これら以外の基金の保有する土地の中には,新たに国から取得の意向が示されたものもありまして,今後とも,公共性公益性の高い目的のものを優先的に処分を図ることといたしますが,それが困難な場合におきましては,民間への売却も検討してまいりたいと思います。 住宅供給公社でありますが,5年以上の長期保有地の値下げ後の販売状況についてであります。吉備高原等4団地で,平成15年度17区画,本年度は現在まで12区画となっております。今後の経営見通しでありますが,値下げによって生じる損失につきまして,これまで積み立てを行ってきております特定準備金を充当して処理するということが可能でありまして,当面の経営には支障がないものと考えております。今後とも,販売促進に全力で取り組んでいくよう,公社に対し指導してまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(中塚正人君)  総務部長前田一浩君。   〔 総務部長 前田一浩君 登壇 〕 ◎総務部長(前田一浩君)  お答え申し上げます。 不正軽油についてでございますが,本県におきましても,近年不正軽油の流入がふえていると見込まれますことから,路上での一斉抜き取りや,大口需要家を初め,すべてのガソリンスタンドからの抜き取り調査等を行うとともに,近隣府県との連携を図る等,監視を強化し,不正軽油の発見と適正な課税に努めているところでございます。 また,議員御指摘のとおり,地方税法改正によりまして,不正軽油に関する罰則が大幅に強化されたことから,販売店や需要家はもとより,あらゆる機会をとらえまして,広く県民の皆様に制度の周知に努めているところでございます。これらの取り組みのよりまして,不正軽油ホットラインを通じて情報が寄せられるなど,不正軽油に対する関心は高まってきているものと,かように存じている次第でございます。 不正軽油は脱税のみならず,環境問題でもあることから,岡山県不正軽油対策協議会を活用いたしまして,軽油関係業者や需要家と行政機関の連携を密にいたしますとともに,改正地方税法を厳格に適用し,不正軽油の撲滅に取り組んでまいりたいと,かように考えております。 以上でございます。 ○副議長(中塚正人君)  教育長宮野正司君。   〔 教育長 宮野正司君 登壇 〕 ◎教育長(宮野正司君)  お答えをいたします。 義務教育の6・3制の弾力化についてでございますが,このたびの文部科学省の改革案では,地方が多様な教育を主体的に実施できますよう,これまでの6・3制の区分を見直し,5・4制などの新たな区分をすることや,小中一貫教育の導入を可能とするなど,柔軟な制度として提案されたものでございます。小学校と中学校の区切り方につきましては,近年,子供たちの発達段階や教育内容等を踏まえまして,さまざまな議論がなされ,さらに一部で試行もされております。 6・3制を見直すかどうかの判断は,設置者であります市町村教育委員会にゆだねられておりますが,今回の国の提案は,義務教育の9年間を通しまして,子供の成長を一体的に考えるという視点に立ったものでありまして,県教育委員会といたしましても,今後の国の審議の過程を注視しているところでございます。 以上でございます。 ○副議長(中塚正人君)  5番小倉弘行君。   〔 5番 小倉弘行君 登壇 〕 ◆5番(小倉弘行君)  地方振興局の見直しについて,知事に大切ないろいろ御意見をいただきまして,ありがとうございます。 私が提案したのは一つの例ということで,やはり岡山市,倉敷市は中核市としていろいろな機能がもう権限移譲されておりますし,これからももっと行政の効率化という面を考えていけば,権限移譲をどんどんしていけばいいということで,できるだけ岡山,倉敷の地方振興局については簡素化していくという方向で考えていただきたいなということと,また遠隔地におきましては,やはり県庁が遠いということ。出先機関が身近にあるという,その安心感がやはり重要ではないかなと思いますので,広さとか不公平感というのではなくて,地域的な距離のバランスという点を考えて,こういうような提案をさせていただいたわけでございます。できればこういった点をぜひ参考にしていただいて,意見反映をしていただければありがたいなと思っております。 また,少子化対策についてですけれども,乳幼児医療費の補助制度でございますけれども,公費補助制度,その点についても若干拡大されております。児童手当についても,国のレベルにおいて拡大されております。しかし,やはり思い切った改革というのが,地方から国を変えるという気持ちで,ぜひとも率先して岡山県で取り組んでいただきたいという気持ちもございます。子供は本当に社会の宝でございますから,子供がふえることによって社会も活性化します。ぜひとも,この点を御要望させていただきまして,答弁は結構でございますので,よろしくお願いいたします。ありがとうございました。 ○副議長(中塚正人君)  16番姫井由美子君。   〔 16番 姫井由美子君 登壇 〕 ◆16番(姫井由美子君)  民主・県民クラブの姫井由美子です。 まず初めに,台風第16号,18号は,岡山に大きなつめ跡を残しました。亡くなられた遺族の方へ,心から哀悼の意を表するとともに,被害に遭われた方々に,心からお見舞いを申し上げます。 石井知事におかれましては,2期目最後の議会です。県政史上に残る輝かしい答弁をよろしくお願いいたします。 まず,三位一体の改革についてです。 石井知事は,「天の時 地の利 人の和」を出版されました。孟子の「天の時は地の利に如ず,地の利は人の和に如ず」を引用され,読みやすい豊かな内容の書と思っています。その中で,「まさに今こそ,『人の和』をもって,本県が迎えた今日の『天の時』そして『地の利』を活かして,県民主役の豊かな地域づくりに次々と花開かせ,岡山県の発展・飛翔を図ることが重要」と訴えております。そのためには,現在の地方自治の財政危機からの脱却が不可欠です。明治初期に始まった中央集権的行政システムを,地方の自己責任のもとで,自主的自律的に行政を行い,各地の違い,特色を競うことができるシステムに改革することが急務と考えています。その解決法策の一つが,三位一体の改革だと考えていますが,これには,地方公共団体の裁量の自由化が伴わなければなりません。もちろん,三位一体の改革が,石井知事も指摘されているとおり,国の財政上の都合による一方的な地方への財政負担の転嫁となるような結果であっては,地方分権社会の実現は不可能です。さらに,国・地方の財源配分の現状を見ますと,租税では,国57.9%,地方42.1%が,地方交付税,補助金を含めた歳出の純計では,国38.1%,地方61.9%という逆転の実態を直視した,税法の抜本的な見直しがどうしても必要だと考えています。 さて,8月24日,地方6団体が,国庫補助負担金等に関する改革案を政府に提出しました。この改革案策定に当たって,知事会では,義務教育費国庫負担金が大きな争点となり,最終的には,中学校負担分8,500億円を先行して削減する案に,反対意見を付記することで最終決着をしています。 付記された13知事の意見を要約してみますと,1,地方財政法の定めにより,補助金の廃止を優先させ,国の義務負担であり財源補償すべき負担金については,論議を深めるべきである。2,教職員の人件費に充てられる負担金を廃止しても,分権化には結びつかない。本質的な議論を徹底すべきである。3,中央政府と地方自治体との役割分担を明確に論議して,合意の上で削減すべき補助金の種類,額について協議すべきである。財政力のある自治体とそうでない自治体の間に受けられる義務教育に,大きな格差が生じかねない。4,地方分権の理念,哲学のもとに行うべきであり,全国一律の教育水準を国の責任で維持することを担保すべきであるなど,いずれの知事も論議を深めるべきとの共通の見解です。 そこで,まず三位一体の改革について,代表質問等との重複をなるべく避けて,知事にお尋ねいたします。 今回の改革案は,改革実行に当たって,協議機関の設置,税源移譲の一体的実施,地方交付税による確実な財政措置,負担転嫁の排除など,前提条件をつけていますが,これら前提条件の見通しについて見解をお聞かせください。 また,国と地方の協議機関については既に設置され,第1回の会議が開催されたとお聞きしますが,地方の意見が確実に反映されるための機関とするために,どのように進めていくべきなのか,知事の考えをお聞かせください。 義務的教育費国庫負担金については,中学校分についてのみ削減されることとなっていますが,その事由と税源移譲や交付税措置が十分になされなかった場合の問題点について,見解をお聞かせください。 改革案に付記された義務教育費国庫負担金に係る13知事の意見について,どのように受けとめられているのか,見解をお聞かせください。 地方交付税が持つ財源保障機能と調整機能を充実強化する必要があります。しかし,財務省は,財源保障機能を縮減する方向にあるように思われますが,知事はどのように思われていますか,見解をお聞かせください。 続いて,市町村合併についてです。 私はこれまで,市町村合併の必要性を強く訴えてまいりました。8月5日,総務省・全国地方新聞社連合会の主催による,市町村合併をともに考える全国リレーシンポジウム2004で,香山総務事務次官は,「なぜ今合併かと言えば,地域主権の主役である市町村のパワーアップを図ることに尽きる」と述べています。また,揚原日本青年会議所直前会頭は,「行政コストは最小限にしてもらわないと困る。感情論で合併は嫌いと言える状況なのか。合併後の市長選挙では,マニフェストを軸に,住民が真剣に考えてほしい」と述べていますが,これは日本の現状を的確にとらえた発言と思っています。さて,岡山県の現状については,期限内合併を目標に,鋭意協議を進められており,その推移を見守っているところです。 そこで,知事に質問します。岡山県における合併協議は,総体的には順調に進んでいると考えていますが,合併をしない新庄村,奈義町,早島町のほか,法定協議会から離脱した町村を含め,現行合併特例法の期限内における岡山県の姿がどのようになると思っておられますか。 また,知事が描かれる平成の大合併後の岡山県像について,率直にお聞かせください。 合併の意義について,総務事務次官の発言,「市町村のパワーアップを図ることに尽きる」と,「そのパワーにより,個性ある地域づくりを進めることが,結果的に我が国の閉塞感を打開する近道だ」には,私は同感です。この点について,知事の考えをお聞かせください。 知事は,前回の私の質問に対し,「合併をしないと決められた町村は,自己決定,自己責任の原則のもとで,自立計画をみずから自主的主体的に策定すべき」と回答されました。しかし,先日,知事の事務所開きに出席した際,知事のあいさつの中で,「合併する市町村にも合併しない市町村にも支援を惜しまない」と表明されました。私は,選挙前に,知事の考え方も変化したのだなあと大変うれしく思いましたが,改めてその真意をここでお聞かせください。 どう考えても,中・長期的計画を町村単独で策定することは,交付税等の扱いが不透明な現状では困難ではないかと考えております。補助金,地方交付税及び地方債に依存する以外,その方策はないのでしょうか。関係町村任せで,広域自治体の長としての責任を全うしたとは言えないのではないでしょうか。知事の見解と対処方針をお聞かせください。 広島県は,宮島町に対し,合併促進の勧告を行っています。広島県市町村合併推進室は,「宮島町が単独で財政再建するのは極めて厳しい,合併期限が迫る中,住民サービス維持には合併が必要」としています。これは,全国では初めてだと言われています。岡山県の将来を考えたとき,基礎自治体に対する支援,助言だけでなく,広島県のように合併促進の勧告をするなど,強力なリーダーシップを発揮する時期が来ていると私は思っています。知事の見解をお聞かせください。 続いて,男女共同参画社会の形成についてです。 男女共同参画社会の形成については,基本法,基本方針などに基づき,おかやまウィズプランを策定,基本理念を明確にすると同時に,1,男女の人権の尊重,2,ジェンダーに敏感な視点からの見直し,3,女性のエンパワーメントの促進の3点を基本視点として,諸施策を積極的に推進されています。 さて,8月26日に,東京都教育委員会が「男女平等教育について」を都立学校長あてに通達いたしました。東京都教育委員会は,最近のジェンダーフリーという用語をめぐる誤解や混乱の状況を踏まえ,以下のとおり見解を示す。ジェンダーフリーという用語は,男女共同参画社会基本法及び国の基本計画,東京都男女平等参画基本条例等においても使用しておらず,また,その意味や主張する内容は,使用する人によりさまざまであり,誤解や混乱が生じている。こうした状況の中で,内閣府においても,本年4月,この用語を定義できないとした上で,地方公共団体が条例等を作成する場合には,あえて使用しない方がよいとの考えを示している。また,一部には,男らしさや女らしさをすべて否定するという意味で,ジェンダーフリーという用語が用いられることがあり,このことは,東京都教育委員会が目指す男女平等教育の考え方と明らかに異なるものである。こうしたことから,東京都教育委員会は,男女平等教育を推進する上で,今後はジェンダーフリーという用語は使用しないこととする,また,ジェンダーフリーの考え方に基づく男女混合名簿の作成も禁止する方針とも聞いています。 ここで,基本的な私の見解を述べておきます。性差には,性別的性差以外に,文化的社会的につくり上げられたものがあることを見逃してはなりません。生まれ育った国,地域,民族の伝統,宗教,家庭環境,教育などによって,幼少期から無意識の中に刷り込まれる形で,それぞれのジェンダーが形成されていますが,いわゆる女らしさ,男らしさという言葉に象徴される性差の大部分は,このジェンダーに属するもので,男女の本質的な性差とは異質で後天的なものと考えています。「女性,男性はこうあるべき」という垣根を取り払い,個人としての自分らしさを求める選択肢を確保することが,私は今でも必要と思っています。 そこでまず,県教育委員の立場として,教育長にお伺いいたします。 東京都教育委員会がジェンダーフリーの用語を使用しないよう,都立学校長あて指示していますが,この指示について,基本的な立場から,どう評価されておられるのでしょうか。 また,ジェンダーフリーの考え方に基づく,男女混合名簿の作成も禁止するとされていますが,どのように考えられているのか,見解をお聞かせください。 また,この問題について,県教育委員の会議で問題となったことがありますか。また,どのような論議がされているのか,今後どのような方針で対処されるのか,お聞かせください。 続いて,内野副知事にお伺いいたします。 まず,東京都教育委員会の対処について,どのように考えられているのでしょうか。また,県のジェンダーについての考え方についてもお聞かせください。 県政オンブズマン,聞きなれない言葉です。それもそのはずです。現在,宮城県と沖縄県にのみ設置された公的オンブズマンで,既存の市民オンブズマンとは本質的に異なります。県政オンブズマンは,知事から委嘱される公的な役割を持ったオンブズマンです。その役割は,県政に対する県民の苦情を受け付け,県と県民の間に立って,公正中立の立場で調査し,意見を述べます。県民が自己の利害にかかわる苦情を申し立てることによって,初めてオンブズマンが取り上げる対象となりますが,あくまでもオンブズマンみずからの発意で調査する権限は与えられていません。 宮城県県政オンブズマン設置に当たっては,要綱を定め,既に8年が経過し,その信頼度は非常に高いと聞いています。要綱の第1条,目的,「県政に対する県民の苦情を簡易かつ迅速に処理し,県民の権利利益を擁護するとともに,公正で透明な行政運営を図り,県政に対する信頼の確保及び開かれた県政の推進を図る」としています。また,第4条,職務として,「県政に関する県民の苦情の申し立てを受理し,これを調査し,簡易かつ迅速に処理すること。県政の非違等について,是正等の措置を講ずるよう勧告すること。県政に関する制度等の改善を求める意見を表明すること。勧告,意見表明等の内容を公開すること。そのほか,県政に対する苦情に関すること」さらに,第5条,責務として,「県政オンブズマンは,県民の権利利益を擁護するため,公正かつ適正に職務を遂行しなければならない。県政オンブズマンは,その地位を政治的目的のために利用してはならない」となっています。定数は2名,任期2年,身分は地方公務員の非常勤の特別職,人物は,人格が高潔で社会的信望が厚く,行政に関しすぐれた見識を有する者から知事が委嘱するなど,細かく決められています。8年を経過した現在において,オンブズマン効果が随所にあらわれ,県民の信頼,評判は高いと聞いています。 そこで,知事に質問いたします。 県政オンブズマンは,公正・中立・透明性を堅持する立場で客観的に事実を調査し,意見・勧告等を適切にすることにより,県政に対する信頼度を高めるだけでなく,県民と行政の距離を縮めます。県政をあなたの身近にするために,この提案に対する知事のお考えをお聞かせください。 最後の質問,駐在所夫人の処遇についてです。 9月8日,山陽新聞のちまた欄に,「駐在所の妻への報償費支給賛成」というタイトルの投稿が掲載されていました。この報償費の問題については,北海道警察や静岡県警の不正支出の問題に端を発し,岡山では,市民オンブズマンのチェック対象になった経緯があり,6月議会においても,共産党の武田議員が質問され,その報償費支給基準については,直ちに県警ホームページにアップされているところです。 さて,駐在所夫人に対する報償費の支給については,私も反対するものではありません。市民オンブズマンは,この問題について不正支出と同じ次元で取り上げられていますが,弱い者いじめみたいに感じていました。このちまた欄は,非常に興味深く読むことができました。市民オンブズマンの問題意識として,「夫人がどの程度のことをしているのか記録がない,1日当たりの額の算出法もわからない」があるようです。しかし,6月7日の産経新聞では,「県警本部長通達に基づき,月の活動日数で支給が決められている。全国で問題になっている報償費の不正支出問題とは切り離して考えるべき」とありました。私は,批判をする前に,駐在所夫人の活動の現状を直視しなければならないと思い,質問に先立ち,実態を調査してみました。その概要は次のとおりです。 駐在所夫人は,精神的に24時間拘束されており,大きな負担があること。駐在所に夫婦同伴で赴任すると,地域の皆さんが安心して何でも相談所となること。電話を受ける,道を聞かれるだけでなく,おれおれ詐欺や架空請求詐欺について相談を受けるなど,いろいろ役割があること。本署から緊急連絡があると,それに対応しなければならないこと。時には山に放置されている車に自殺者があり,すぐ来てくれと駆け込まれ,夫が不在のため,かわりに現場に駆けつけたこともあったこと。大きな事件があると,駐在所からも出動があり,長期間,夫が不在となり,その間,留守を守らなければならないこと。犯罪者,酔っぱらい,暴力的な人との対応だけでなく,けんかの仲裁などもすることなど。神経の休まるときはないと強調されていました。話を伺っていて,駐在所にいることの意義を,「夫のため」ではなく,「地域,地元のためであり,社会的な役割である」との発言が印象的でした。これは,駐在所にいる社会的な役割を自覚しているからだと思います。私も働く女性として,女性の社会進出を応援する立場から,駐在所夫人に対してエールを送る意味で,県警本部長に質問いたします。 まず,岡山県における駐在所の実態を,単身,同伴別も含め,お聞かせください。 私は,駐在所夫人という役割の必要性を痛感しましたが,その果たす役割が,一般的に理解されていないためのギャップが,不正支出の問題として取り上げられたのではないでしょうか。また,駐在所夫人の環境は,決してよいとは思いません。駐在所夫人が地域で果たす役割や実態を,県民に知ってもらう必要があると思っています。今後,駐在所夫人の役割や実態をどのように広報されるのでしょうか。 駐在所の警察官が不在のとき,つまり駐在所夫人が一人で対応するときの応援態勢をお聞かせください。 駐在所夫人の置かれた環境を,精神的な面も含め,今後改善していくお考えがおありでしょうか。 最後に,そもそも,駐在所の妻を何と言いますかと聞いたところ,俗称で駐在所夫人という呼び方だと教えられました。私は,この呼び方自体,違和感があるなと思います。皆さん,どう思いますか。何だか駐在所の付属物のようでしっくりしません。駐在所スタッフ,駐在所パートナーとか,今日にふさわしい呼び方を考えていただけないでしょうか。もちろん,駐在所夫人の意見をよく踏まえて,検討していただきたいと要望いたしまして,質問を終わります。ありがとうございました。 ○副議長(中塚正人君)  答弁を求めます。 知事石井正弘君。   〔 知事 石井正弘君 登壇 〕 ◎知事(石井正弘君)  民主・県民クラブの姫井議員の質問にお答え申し上げます。 まず,三位一体の改革であります。 改革の前提条件についてのお尋ねでありますが,1年前のこの16年度の改革を振り返っていただきますと,我々地方の意見というものが取り入れられることなく,税源移譲が先送りされたまま,国庫補助負担金とか地方交付税等の大幅な削減のみが行われまして,国と地方との信頼関係を大きく著しく損なうという結果になったものであります。このため,今回の改革案におきましては,国庫補助負担金を廃止する,その前提といたしまして,税源移譲の一体的,確実なる実施,地方交付税による確実な財政措置等の条件を提示いたしますとともに,地方の声が確実に反映されるということを担保するために,国と地方との協議機関の設置を求めまして,これにつきましては先日,第1回目の会議が開催されたということでございます。 今後の見通しということになるわけですが,第1回の会議が開催され,その後の日にちとか形式はまだ具体的に示されていないと伺っておりますが,いずれにいたしましても,これからも第2回,第3回と,このような協議の場が設けられ,我々の意見をぜひ聴取してもらって,我々自身もその具体的な今回の三位一体改革の中身が決定する際,我々自身もその内容に意見をどんどんこれからも挟んでいくと,こういったことで,我々の意見を反映させてもらうように,先頭に立って頑張っていかなきゃいけないと思っております。我々といたしましては,この改革案の実現に向けて,国の政治決断を引き出すべく,6団体が一致をいたしまして,まさに不退転の決意で協議に臨まなければならないと思っております。 義務教育費国庫負担金についてでありますが,今回の改革案では,18年度までの第1期改革だけでなく,19年度以降の第2期改革も提案をしておりまして,義務教育費国庫負担金につきましては,第1期改革,第2期改革を通じまして,全体を廃止をすることとしておりますが,国が提示をいたしました3兆円という税源移譲の規模,あるいは高等学校とともに,中等教育機関といたしまして位置づけをされているという中学校の性格等を考慮いたしまして,当面第1期改革におきましては,中学校教職員の給与にかかわる負担金につき,対象としたものでございます。 また,今回の改革案では,税源移譲だけでなく,その廃止・縮減に応じまして,地方交付税による所要の財政措置がなされるべきということも指摘をしておりまして,その実現を図った上で,私といたしましては,義務教育の実施に支障がないように,財源の確保というものを図ってまいりたいと存じます。 13知事の付記意見でありますが,国庫補助負担金等に関する改革案を全国知事会でまとめる際,義務教育費国庫負担金につきまして意見が分かれ,最終的には改革案に13知事の意見を付記するということになったものであります。13名のこの意見の内容を見ておりますと,確かに「義務教育費国庫負担金は一般財源化すべきではない」と,こういう意見もありますが,しかし,他の意見を見ておりますと,「第2期分に回すべきである」と,こういったような意見もありまして,これらを含め,概して時間をかけて議論をすべきではないか,そういう意見が多かったように,私は受けとめております。義務教育は,国の根幹にかかわる重要な問題でございまして,今後も地方6団体の改革案を踏まえて,国会を初め,さまざまな場で大いに議論が行われ,そして我々のこの案が実現できることを願っているものであります。 地方交付税でありますが,三位一体の改革は,地方の自主・自律性を高めるための改革であるはずにもかかわらず,財務省が主張しております地方交付税の財源保障機能の縮減ということは,国の財政上の都合のみによる地方交付税の削減としか考えられないところでございまして,地方から見ますと,三位一体の改革の趣旨にそぐわない,到底受け入れるわけにはいかないと,このように存じます。 次に,市町村合併であります。 現行合併特例法期限内の県の姿についてでありますが,これまで10地域42市町村が合併協定調印を終えるなど,合併により行財政基盤を強化し,自立力を高めた多くの市や町が誕生し,個性豊かで特色あるまちづくりが行われることになるところであります。一方,合併しなかった市町村におきましては,徹底した行財政改革の断行等によって,自立した基礎自治体づくりに取り組まれるものと,このように考えております。 現行合併特例法に基づく取り組みや,合併新法のもとでの市町村合併がさらに進んでいけば,平成の大合併後におきましては,住民に最も身近な市町村が,その権限と責任を拡大し,そして県との対等かつ密接なる協力関係のもとに,住民福祉の向上を図っていけるような,そういった地方分権時代にふさわしい岡山県像を描けるものと大いに期待いたしております。 合併の意義についての香山総務事務次官の発言でありますが,市町村合併の本来の意義は,これまでも申し上げてきたとおり,行財政基盤の強化や自治能力の向上を図って,地方分権時代の新しいまちづくりの主体にふさわしい,自立力のある基礎自治体,これを形成いたしまして,住民福祉の向上を図っていくことにあると考えております。お話にございました総務事務次官の発言は,地方分権の主役であります市町村が,合併によってパワーアップすることの重要性をわかりやすく表現されていると,このように私も考えております。特に,市町村が合併によってパワーをつけ,個性ある地域づくりを進めるということが,我が国の閉塞状況を打破する近道であると,このような御指摘につきましては,私も議員と全く同感でございます。 次に,合併をしない市町村への支援についてでございますが,先日の事務所開きにおきましての私の発言は,合併する市町村と合併しない市町村とにかかわらず,それぞれが岡山県を構成する自治体として,これまでと同様に助言や支援を行っていきたいと,こういう趣旨で申し上げたものであります。いずれにいたしましても,地方分権時代における市町村は,自己決定,自己責任の原則のもと,地域間競争を勝ち抜いていける自治体となるべきと,このように考えておりまして,この私の発言は,従来からの考え方を変えたわけではなく,県の姿勢といたしまして当然のことを述べたものと,このように私は思っております。 合併しない町村の中長期計画についてであります。国,地方を通じました危機的な財政状況の中で,地方財政全般にわたって,歳出の抑制ということが求められておりまして,より一層効率的な行財政運営を行う必要があります。このため,合併しない町村においては,自己決定,自己責任のもと,徹底的な行財政改革等を行って,住民福祉の向上を図っていくための中・長期計画を,みずから自主的主体的に策定をしていただくべきものと,このように考えておりまして,県と市町村とが対等協力の関係にあります現在,こうした町村からの相談に対しまして適切に対応していくことで,県としての役割を果たしていきたいと考えております。 また,合併するとしないとにかかわらず,国の方に対しまして,市町村の行財政基盤の強化が図られますように,地方6団体と連携して,制度改革等につきまして提言してまいりたいと存じます。 合併促進の勧告についてのお尋ねをいただきました。お話ございました広島県宮島町に関しましては,極めて厳しい財政状況のもと,住民の多くの方々が合併を望んでおられ,そしてその合併先の早期決定を求めておられると,こういう極めて特殊な事情を背景にいたしまして,県からの勧告が行われたものと,このように認識をいたしております。 本県におきましては,これまでも合併は避けて通れない課題であるということを,あらゆる場面におきまして強く訴えてきたところでありますが,現時点におきまして,同様の勧告を行うべき状況には至っていないということから,広島県で行われたような勧告ということを行うことは考えておりません。 最後に,県政オンブズマン制度でありますが,第三者的立場で行政に対する県民の苦情を受け付けるものと,このように承知しております。このような県民の苦情を受け付け,行政をチェックする機能といたしましては,まず議会によります幅広いチェックを初めといたしまして,外部監査制度,監査委員による監査制度,住民による直接請求制度,個別の行政処分ごとの行政不服審査制度などが法律に基づく制度として確立され,それぞれが重要な役割を果たしてきているところであります。したがいまして,これらの既存の制度との関係からも,御質問の新たなオンブズマン制度につきましては,慎重に検討させていただきたいと存じます。 なお,本県では,「開かれた県政」,「対話の県政」を推進していくために,マルチメディア目安箱を設置いたしまして,県民の皆様方からのさまざまな意見を受け付け,私自身が目を通して,速やかに回答する制度を設けているところでございます。 以上でございます。 ○副議長(中塚正人君)  副知事内野淳子君。   〔 副知事 内野淳子君 登壇 〕 ◎副知事(内野淳子君)  お答え申し上げます。 まず,東京都教育委員会の男女平等教育に係る方針についてでございますが,このたびの方針は,東京都教育委員会の男女平等教育の考え方に基づき,主体的に判断されたものと考えております。 次に,ジェンダーの考え方についてでございますが,おかやまウィズプラン21の「ジェンダーに敏感な視点からの見直し」にもあるとおり,性別役割分担は固定的なものではないとの認識のもとに,一人一人が自分自身の生活や社会のさまざまな場面を見直していくことが必要であると考えております。 これまで労働行政に携わってまいりました私といたしましても,男女が性別にかかわりなく,その個性と能力を十分発揮できるようにするためには,労働環境の整備に加えまして,社会全体や個々人の意識啓発を図っていく取り組みを進めることが重要であると実感しております。 男女共同参画社会の実現は,石井知事が最も力を入れている課題の一つでございまして,これまで私が得た知識,経験を役立て,知事の補佐役といたしまして,本県における男女共同参画を促進するため,男女の意識改革や女性のエンパワーメントの推進に,全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。 以上でございます。 ○副議長(中塚正人君)  教育長宮野正司君。   〔 教育長 宮野正司君 登壇 〕 ◎教育長(宮野正司君)  お答えをいたします。 まず,ジェンダーフリーを使用しない指示への評価についてでございますが,このたびの東京都教育委員会の見解は,都教育委員会の男女平等教育の考え方に基づき,主体的に判断されたものと考えております。 県教育委員会といたしましては,ジェンダーフリーという用語につきましては,使用する人により,その意味や主張する内容がさまざまで,誤解を招くおそれもあり,使用しておりません。男女平等教育を推進する中で,ジェンダーに敏感な視点に立って,日常生活や社会のさまざまな場面を見直していくことが大切であると考えております。 次に,男女混合名簿作成の禁止についてでございますが,東京都教育委員会のこのたびの通知では,男らしさや女らしさをすべて否定するような誤った考え方としてのジェンダーフリーに基づく男女混合名簿を作成することがあってはならないとしております。 県教育委員会といたしましては,名簿というものは,用途に応じ適切なものを作成し使用するものであり,このことについて特段の指導はいたしておりません。いずれにいたしましても,保護者や学校評議員などの意見も聞き,共通理解を図りながら実施することが大切であると考えております。 最後に,県教育委員会での議論と今後の方針についてでございますが,このたびの東京都教育委員会の指示にかかわっての議論はいたしておりませんが,これまでも男女共同参画社会の実現や男女平等教育の推進などのかかわりの中で意見交換を行い,共通理解を図っているところでございます。 今後も,男女共同参画社会基本法や県の条例に基づき,性別にかかわらず,個性と能力を十分に発揮することができる社会の実現のために,男女がお互いに相手の人格を尊重する態度を身につけるなど,男女平等教育に取り組んでまいる所存でございます。 以上でございます。 ○副議長(中塚正人君)  警察本部長福島克臣君。   〔 警察本部長 福島克臣君 登壇 〕 ◎警察本部長(福島克臣君)  お答えいたします。 まず,県下の駐在所の実態についてであります。 本年8月末現在で運用中の駐在所は,195カ所でありますが,そのうち配偶者同伴は150カ所,単身赴任は31カ所,独身者は14カ所で,同伴率は76.9%でございます。 次に,駐在所勤務員の配偶者の役割や実態の広報についてでありますが,長きにわたって駐在所勤務員を支えた配偶者をたたえる野菊賞制度を設け,その活躍や苦労などにつきまして,マスコミに報道提供しているところでございます。今後は,警察本部や警察署のホームページに,駐在所勤務員の配偶者の役割や活動について掲載いたしますとともに,具体的な活動事例につきましても,機会をとらえて積極的な広報に努めてまいりたいと考えております。 次に,駐在所勤務員の不在時の応援につきましては,まず駐在所勤務員が長期の不在とならないよう,勤務計画の策定に配意いたしますとともに,勤務員の不在時には,警察署から配偶者に対し,より緊密に連携をとり,必要な助言やきめ細かい連絡に努めております。また,警察官の対応が必要な場合には,近隣の交番・駐在所やパトカーに指示いたしまして,早期に警察官による事案処理をさせているところでございます。 最後に,環境の改善についてでございます。 駐在所が地域にとけ込みながら,地域社会の安全と平穏を確保するという機能を十分に発揮するためには,駐在所の配偶者の存在が大変大きいと考えております。したがいまして,配偶者が駐在所生活を快適に,そして安心して送れるようにするため,警察署において配偶者の研修会等を開催し,その苦労や悩みを把握して,不安や問題の解消を図るとともに,駐在所施設を順次整備し,また勤務員不在時に家族が危険を感じた場合に,駐在所から警察署に即時通報することが可能な緊急通報装置等のセキュリティー機器を充実させているところでございます。 また,警察本部長や生活安全部の幹部は,例年,駐在所の巡回督励を計画的に行っておりますが,私自身も,この10月から現地に赴きまして,その中で駐在所配偶者としての活動実態や苦労を直接お聞きして,今後の環境改善に生かしてまいりたいと考えているところでございます。 以上でございます。 ○副議長(中塚正人君)  16番姫井由美子君。   〔 16番 姫井由美子君 登壇 〕 ◆16番(姫井由美子君)  再質問をさせていただきます。 まず初めに,石井知事におかれましては,財務省に対する方向性は到底受け入れられないという,心強い,強い意思を表明してくださいまして,大変うれしく頼もしく思っております。 しかし,一方で,先ほどの,市町村合併をしないところに対する支援,あいさつの中で,「これまでと同様に」という言葉を私は聞き逃していたのでしょうか。それとも,当日ビルの谷間のビル風が強かったり,マイクの調子が悪かったので聞き逃していたのかもしれませんけども,ただ私が逃していたということで,当日出席された町村長さんたちも聞き逃しているかもしれませんので,よろしくお願いします。私は,合併をしない市町村については,これまでと同様の支援では足りないということを強く要望しておきたいというふうに思っております。 続いて,教育長に確認したいと思います。 先ほど,ジェンダーフリーは使用していませんということは,自発的に使用しないということであって,使用を廃止する,禁止するというような制限は,これからもしていく考えはないというところまで考えていいでしょうか。 2点目,ジェンダーフリーの思想,考えに基づいた男女混合名簿は,県としても認められないというようなことが東京都の話で,今回岡山では,そういったことも特には規制はしてないということでした。ということであれば,ジェンダーフリーの思想に基づいた混合名簿すら,もし作成したとしても,それは特につくってはいけないというふうな指導する考えはないということでよろしいでしょうか,確認です。 そして,3つ目です。先ほどのオンブズマン,県政オンブズマンはつくる必要ないというふうに言われましたけれども,この市民オンブズマンのホームページ,垂れ込み情報何でもあり,皆さんごらんになりましたでしょうか。県警本部長もごらんになりましたでしょうか。今回の報償費のことにつきましては,このように書かれています。警察の駐在所報償費について,とても興味深く拝見しました。途中飛ばします。駐在所に出れば,朝は8時,9時まで寝てられます。だれも見ている人はいません。昼は昼寝2時間,これもだれも見ていません。夜は5時から,このときばかりは公務員ですが,その後は制服を脱ぎ捨て,テレビ鑑賞,酒の世界です。奥さんの手当,これが皆さんの言う報償費ですけども,最初は3,000円ぐらい,次に1万円ぐらい,何と今は8万円,これも違います,7万9,000円ですね。駐在所の奥さんは,1カ月に3回電話をとれば8万円です。野菊賞とかという賞が13年たてばもらえます。このような書き方です。これをまた見まして,それを受けたある主婦が,駐在所の報償費の記事を見ました。それも,報償費の70%強が駐在所報償費だなんて知りませんでした。市民オンブズマンに対して,よく調べていただいて,信頼できます。ここで,この問題を完全解決してほしいと思います。駐在所の奥さんのお金,これが多額の報償費になっている。知り合いに聞いたところ,9万9,000円,これも違いますね。御主人の給料が30万円として,夫婦で39万9,000円。この金額を受け取るには,それなりの裏づけがあるのでしょうか。例えば,奥さんの勤務表,私はパートで5万円くらいです。それでもタイムカードはきちんとつけています。一度この点を調べてください。できれば奥さんのタイムカードをこのサイトに出してください。とありました。 私が言いたいのは,先ほど県政オンブズマン,外部監査制度等はあるから考えてないというふうにおっしゃいました。私はあえて,オンブズマンという名前の公的な県政オンブズマンをつくっていただきたいというふうに思います。この市民オンブズマンがあるために,この市民オンブズマンのホームページ等を信頼できるという方がいるわけです。内容はかなり違っています。というか全然違っています。このことから申しましても,だからこそ,誤解されないようなオンブズマン制度を県の方で示していただきたいと,私は思っております。 それからもう一つ,駐在所の奥さんのタイムカードを出してくださいとありました。これも,私が聞いたところによりますと,確かに事件が少ないところでは,週に3回ぐらいしか駐在所を訪れる人はいません。しかし,電話があったら奥さんはすぐに駆けつけます。あるとき,おしめをかえている途中に電話が鳴って,何をおいても電話をとり,帰ってみたら部屋中うんちだらけ,またおふろに入ったばかりのときに,ある女性が御主人が暴力を振るう,助けてと飛び込んできて,とりあえず矢も楯もたまらず出て行ったというふうなことがあります。これは,タイムカード,時間給でははかれないです。 県警本部長には,このホームページをごらんになったのか,またごらんになったとして,この誤解を解くような努力をされたのか,お伺いしたいと思います。 質問は,教育長と県警本部長です。 以上です。 ○副議長(中塚正人君)  答弁を求めます。 教育長宮野正司君。   〔 教育長 宮野正司君 登壇 〕 ◎教育長(宮野正司君)  再質問にお答えをいたします。 ジェンダーフリーという言葉は,先ほど御答弁申し上げましたように,国でももう定義ができないと。もしも使うんであるならば,どういう意味で使用しているのかということをはっきりさせないと誤解を招くおそれがありますので,我々は使っておらない。ということは,学校でも,そのあたりのことをしっかり踏まえて対応していただきたい。実際に,教科書にジェンダーフリーということが載っている教科書もあるわけです。そのときには,これはこういう意味だということで使用しないと,かえって混乱を招くと,男女共同参画社会を推進する上で私はマイナスになるということで,余り使ってほしくないという意味でございます。 それから,男女混合名簿も同様に,東京都も,男らしさ,女らしさをすべて否定するような,そういう考え方に基づいて云々と書いてあります。実際,東京都のあれを見てみますと,混乱を招いていると書いてある。我々は,本県で混乱を招いていると考えておりませんので,特別に,今までこれについて指導してきたということはありません。混乱を招くようなことがあれば,それはまたそこで考えなきゃいけないということでございます。 以上でございます。 ○副議長(中塚正人君)  姫井君,オンブズマンについては当初,県警本部長に質問がありませんでした。駐在所の件の答弁を求めます。 警察本部長福島克臣君。   〔 警察本部長 福島克臣君 登壇 〕 ◎警察本部長(福島克臣君)  先ほど,その御指摘のホームページを見たことがあるかというお尋ねでございますけれども,私自身がホームページをあけたわけではありませんが,それを見た人がそれを打ち出しまして,私のところに持ってまいりまして,私はそれを拝見いたしております。大変悪意に満ちた,誤解に満ちたものであると考えております。 議員御指摘のとおり,何時から何時までというわけで働いてるわけではございませんで,24時間何かあったら直ちに対応しなければいけないということでありまして,24時間,本当に配偶者は緊張を強いられていると感じているところでございます。 また,県警察本部長として,そういった駐在所の配偶者の活動の誤解を解くようなことをしてきたかという御指摘でございますが,確かに御指摘のとおり,足らなかったところがあるやに思っております。今後とも,今申しました広報でありますとか,そういった活動実態を広く知らしめることに努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○副議長(中塚正人君)  16番姫井由美子君。   〔 16番 姫井由美子君 登壇 〕 ◆16番(姫井由美子君)  教育長の考えはよくわかりました。ありがとうございます。 本部長に対して,本部長みずからもが駐在所を回っていただくと,最初の答弁でもいただきました。大変うれしく思っております。 この9月8日の「駐在所の妻への報償費支給賛成」というちまたの投稿を受けまして,実は昨日,9月15日に,「駐在所の妻の努力理解して」という投稿が載っておりました。ちょっと披露させていただきます。8日付,本欄の「駐在所妻への報償費支給費賛成」を読んで,こういう意見を持っていただけることをとてもうれしく思うと同時に,ほかにも懸命に頑張っておられる警察官が存在することを,とてもうれしく思いました。私の父が駐在所を守る警察官の一人だからです。休みであろうとも,駐在所にいる限りはゆっくりはできません。事件で父が出ている間は,それこそ寝ずに,母は他の方の対応に追われます。近くの小学校に通う子供たちが心配で,規定の時間外でも横断歩道で番をしたりもしています。駐在所に警察官がいない間に起こる事件に対応する母に対して出る報償金など,本当にわずかなもので,気の毒に感じさえすることもあります。表面化する事件が警察官の不祥事ばかりで,日々努力している者のことは表へ出てこないというのも,理解されがたいことの要因でしょうか。私など,子供のころから,普通の電話ではなく,それ以上にけたたましく鳴り響く,あの夜中の電話の音,思い出すのも嫌になります。受験勉強に疲れて,やっと寝られると思ったら,呼び出されてばたばたと出ていく父の忙しそうな音に起こされる。警察官とは結婚したくないななどと,父には悪いけれども思ったものです。そんな父も,途中がんに冒されながら頑張り通し,あと半年で定年を迎えます。 私が本部長にお願いしたいのは,先ほども申しましたけれども,ちまた欄の投稿を待ったり,私の一般質問を待つまでもなく,同じ仲間の心の痛みを理解して,やはりもっと早く誤解を解く努力をしてほしい。そして,特に,駐在所の妻は組織内ではありませんから,その声を上げるところも,野菊賞あるいは時々意見を聞いてもらえる,限られています。だからこそ,警察本部長あるいは県警の方から,特に気をつけていろんな意見を聞いてあげてほしいと,心からお願いをいたしまして,要望といたしまして,質問を全部終わります。ありがとうございました。   ~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(中塚正人君)  以上をもって本日の日程は全部終了しました。   ~~~~~~~~~~~~~~~ △9月17日の議事日程 ○副議長(中塚正人君)  明日の議事日程は,午前10時30分開議で,一般質問であります。   ~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(中塚正人君)  本日は,これをもって散会いたします。        午後3時7分散会〇 平成16年9月16日(木曜日)出席議員   1番 森脇 久紀君     2番 増川 英一君     3番 蜂谷 弘美君   4番 山本満理子君     5番 小倉 弘行君     6番 加藤 浩久君   7番 栗山 康彦君     8番 神宝 謙一君     9番 西岡 聖貴君  10番 波多 洋治君    11番 小林 清子君    12番 久徳 大輔君  13番 高橋 戒隆君    14番 蓮岡 靖之君    15番 佐藤 真治君  16番 姫井由美子君    17番 三原 誠介君    18番 森本 徹磨君  19番 吉田 政司君    20番 赤坂てる子君    21番 武田 英夫君  22番 山田総一郎君    23番 長瀬 泰志君    24番 草苅 隆幸君  25番 池田 道孝君    26番 井元乾一郎君    27番 末藤  守君  28番 伊藤 文夫君    29番 小田 圭一君    30番 渡辺 英気君  31番 内山  登君    32番 小野 泰弘君    33番 河本  勉君  34番 岸本 清美君    35番 小田 春人君    36番 藤村 欣裕君  37番 住吉 良久君    38番 鈴木 一茂君    39番 景山 貢明君  40番 高橋 英士君    41番 古山 泰生君    42番 天野  学君  43番 中塚 正人君    44番 市村 三次君    45番 三村 峰夫君  46番 千田 博通君    48番 森  正人君    50番 戸室 敦雄君  53番 井手紘一郎君    54番 小枝 英勲君    55番 大杉 尚久君  57番 門木 和郎君    58番 原  寿男君           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~欠席議員  49番 桑山 博之君    56番 蜂谷 勝司君           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~出席した事務局職員  事務局長     古矢 博通         次長       藤原 洋一  議事課長     前原 耕二         政務調査室長   曽田 章楷  議事課長代理   河井 伸充         議事課長補佐   亀山 節子  議事課主幹    石川 幸二         議事課主幹    米戸 健浩  議事課主事    藤原 健人           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~説明のため出席した者知事部局  知事       石井 正弘君        副知事      本田 茂伸君  副知事      内野 淳子君        出納長      黒崎 一秀君  公営企業管理者  龍門  功君        政策審議監    窪津  誠君  知事室長     小野 隆夫君        国体・障害者スポーツ大会局長                                  島津 義昭君  総務部長     前田 一浩君        総務部次長    古宮 正範君  企画振興部長   板野 忠司君        生活環境部長   山田 宗志君  保健福祉部長   宮嵜 雅則君        産業労働部長   池上賢太郎君  農林水産部長   森  義郎君        土木部長     山中 義之君教育委員会  委員       高橋 香代君        教育長      宮野 正司君  教育次長     釜瀬  司君公安委員会  委員       永山 克巳君        警察本部長    福島 克臣君  警務部長     西郷 正実君人事委員会  委員       村上 行範君        事務局長     藤原 師仁君監査委員  代表監査委員   吉永 謙一君        事務局長     高橋 泰治君選挙管理委員会  委員       岡本 研吾君...